スポット溶接の追加でボディ剛性が向上!
最近のトヨタ車のデザインはかなり「アグレッシブ」な方向に振っているように思われるが、その流れに乗ってマークXもマイナーチェンジ(MC)で随分ハデに変えてきた。
「まずはこの時代の流れに乗ったエモーショナルなデザインを採り入れました。そしてそのデザインに負けないFRセダンとしての基本性能の磨き上げ、つまり走りの熟成を図りました」
MCの狙いをこう語るのはマークXの開発担当主幹の西村氏だ。たしかにフロントマスクは、とくにヘッドランプやバンパーの形状を見ればわかるように、とにかく〝大胆かつワイルド〞に変貌した。
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マークX 250RDS
RDSは6眼(片側3眼)のBi-Beam LEDヘッドランプを採用。従来型よりも明らかに“目ヂカラ”が増していて、見た目のインパクトを与えている。
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リアコンビネーションランプのクリアレンズはフロントとの共通化を図る意味でブラックのイメージを採り入れている。
では、走りの方はどうか? 新たに設定された250RDSに試乗した第一印象は、とにかく乗り心地が良いということだ。これまでのマークXはこのクラスの国産セダンとしてはスポーティな印象で、ハンドリングもキビキビ感を強調していた。しかし、最新モデルに乗ってみると、足がしっかり動いて路面をトレースして、FRの持つクセのない素直なハンドリングはそのままに、しっとりとしたマイルドな乗り心地へと進化している。
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これにはちゃんとワケがある。
「基本性能の熟成では、スポット溶接でいうと約90点追加して接着の長さを6m延長した『高接合剛性ボディ』としました。これにより強固なボディにつながっているサスペンションがよく動くようになり、フラットな走りを快適な乗り心地で実現するとともに、ステアリングレスポンスも向上して、FRセダンとして爽快な走りを味わえると思います」
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溶接のスポット打点を90カ所以上追加するとともに、構造用接着剤を採用するなどボディの接合剛性を強化。乗り心地と操舵時の手応えも向上している。
こう西村氏が語るように、ボディのしっかり感は荒れた路面を走ってみるとよくわかる。余計な振動がステアリングやシートから伝わってこないし、ボディのねじれも感じられない。
ただ、試乗した2.5L・V6NAエンジンは、盛り上がりというか躍動感に乏しく、イマドキにしてはいたって普通なエンジンという印象。ちょっとヤンチャな感じを期待するなら、3.5Lモデルをオススメする。
文:加藤英昭 写真:小平 寛
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RDSグレードのタイヤサイズは235/45R18。スパッタリング塗装のアルミホイールが標準装備となる。
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RDSグレードに標準となる「ブラック/レッド」の内装色。質感を向上させており、大人の空間を巧みに演出している。
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シート素材はアルカンターラ+合成皮革を採用。体格に合わせて無段階で電動での調整可能だ。
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試乗車両主要諸元 マークX 250RDS
全長×全幅×全高=4770×1795×1435mm
ホイールベース=2850mm
車両重量=1520kg
エンジン=V6DOHC・2499cc
最高出力=149kW<203ps>/6400rpm
最大トルク=243Nm<24.8kgm>/4800rpm
JC08モード燃費=11.8km/L
駆動方式=FR
トランスミッション=6速AT
タイヤサイズ= 225/55R18
車両価格=343万4400円(380万6460円・オプション含む)