クルマの全方位を確認できるカメラが便利
「デカイな!」とは、XC90を見た人の口から出てくる言葉である。それはそうだ。T8で全長は5mに届かんとする4950mm、全幅だって1960mmある。
しかし、その次に言うのは「でもカッコいいな!」である。そう、このクルマは誰が見ても〝カッコいい〞のだ。〝デカイこと〞は、世界各国の道路や交通環境、駐車場の事情などによって印象は変わってくる。
たとえば、日本とは違い、アメリカだと〝デカイ〞と思う人は少ないだろう。でも〝カッコいい〞は、たぶん世界共通だと思う。その証拠に、このXC90は世界各国で自動車の賞やデザイン賞を獲りまくっている。日本でも、「2016年度のグッドデザイン・ベスト100」に選ばれた。
そして、長期間にわたり乗っているとXC90の魅力は、デザインだけにとどまらないことを全身で感じる。とくに気に入っているのはシンプルでクリーンな室内空間である。運転席に座るといつもなんだかホッとしてしまうのだ。
私にとってXC90の室内はすっかり癒しの空間となっている。長距離を運転するのも苦にならないので、ついつい走行距離が伸びてしまうのだ。
そんなXC90であるが、やはりボディの大きさを持て余すときがある。たとえば外出先で車高や車幅がひっかかってタワーパーキングに入らない、コインパーキングに入れるときに切り返しが多くなる、狭い道を通るときに障害物を警告するアラート音が鳴り続ける、などである。
明らかにボディサイズで入庫できないタワーパーキングは別として、狭い道や駐車場では、車両の全方位をディスプレイで確認できる360度ビューカメラはとても便利な装備だ。確認したい場所のカメラアイコンにタッチすれば、そこを瞬時に映し出してくれるからだ。
カメラ自体は、前回の長期テスト車両、XC60にも装備され、センタースタックにある「CAM」ボタンを押すとすぐに映し出してくれた。
ただし全方位ではないが。その「カメラ」アイコンがXC90は、メインディスプレイにあるため、ナビやオーディオなどを使用しているときは、一度その画面から「カメラ」アイコンのある画面を表示してから押す必要があるので、以前よりはひと手間多くなった。
ただ、それも慣れてきてしまえば簡単に作動させることができる。オーナーになればそれほど苦にならない操作だと思う。(文:千葉知充 Motor Magazine編集部/写真:千葉知充、永元秀和)