N-ONEの素性の良さはそのままに、スポーティな雰囲気を楽しめる。
ホンダのプレミアム軽自動車、N-ONEがマイナーチェンジされた。大きな変更点は、タイムレスデザインが好評のN-ONEを、「スタンダード」、「セレクト」、「プレミアム」、「RS」という4つの世界観を豊富なカラーバリエーションと合わせて表現したこと。それぞれの個性を際立たせることで、ユーザーはお気に入りの1台を選べることになる。
そんなN-ONEの中から今回チョイスしたのは、精悍かつスポーティなRS。ホンダでは「タイプR」の手前に位置するスポーティグレードの名称で、初代シビック以来、多くのモデルに設定されている。
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ボディカラーのサンセットオレンジIIだとルーフはブラックの2トーンとなる。
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大型テールゲートスポイラーはRS専用アイテム。ミラーやホイール、モール類をブラックアウトしている。
このRSでは、ノーマルより10mm低いローダウンサスと55mm低いローダウン専用ルーフを採用。エクステリアではホイールやモールなどをブラックアウトし、インテリアも本革ステアリング&シフトノブでスポーティな雰囲気を増幅している。
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インテリアのクオリティは高い。赤いステッチの入った本革ステアリングやシフトノブがRSを主張する。
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メーターにも赤いアクセントカラーが入り、走りの気分を高めてくれる。
パワートレーンは0.66L+ターボエンジンに7速マニュアルモード付きCVT。軽の自主規制値である64psと10.6kgmというスペックは、他グレードのターボ車と同じ。
絶対的なパワフルさはないが、900kgを切った車重でパワーに不足はない。発進から軽快で、街中ではコンパクトなサイズと視界の良さも相まって、キビキビ・スイスイと走り回れる。
高速道路での直進安定性も悪くない。Sモードで7速80km/hのエンジン回転数は2500rpm。
静粛性も十分。軽自動車初採用の遮音機能付きフロントウインドーガラスの採用も功を奏しているのだろう。
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64psと10.6kgmを発生する0.66Lの3気筒ターボエンジン。必要十分なパワーは備える。
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165/55R15のBS B250をブラックのアルミホイールに履く。
ローダウンとはいえ車高は1545mmとそれほど低くないし、専用サスなどで足を固めているわけではないので、コーナリング時のロールはそれなりだが不安はない。Sモードでパドルを駆使してマニュアルシフトすれば、けっこうスポーティな走りも楽しめる。
ジェネレーションの関係で、今回のマイチェンでも残念ながらホンダセンシングは採用されていないが、シティブレーキやサイドエアバッグなどの「あんしんパッケージ」は全グレードにオプション設定されている。
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アイドリングストップ機能も備え、走りと好燃費をバランスさせている。
4日間の試乗で約350km(市街地と都市高速が半々くらい)を走り、平均燃費は約18.5km/L。オートACは入れっぱなし、ECONモードはON。
RSだからというわけではないけれどエコランを意識せず、ちょっと元気に走っての燃費だから、けっして悪い数字ではないだろう。
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シート地はプライムスムースとダブルラッセルの2トーン。センターアームレストも備える。
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ハイト系ワゴンほどではないが、リアシートの広さも十分。座面を起こせば背の高い物も積める。
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フル乗車時でも思ったより荷物は積める。リアシートはワンタッチでダイブダウンする。
軽とは思えない上質なインテリアに、室内空間は意外と広く、リアシートの乗り心地も悪くない。このクラスとしてはカーゴスペースも十分で、リアシート座面をチップアップすれば背の高いものも積める。ミニワゴンとしての機能も高い。
2人乗車でシティユースが中心だからクルマは軽自動車でいいけれど、スポーティな雰囲気は大事にしたいヤングアットハートな男性ユーザーには、このN-ONEのRSは格好の1台だろう。
軽自動車としては価格は安くはないが、充実した装備や所有した満足感で納得はできるはずだ。
(文:篠原政明/写真:安西英樹)
ホンダ N-ONE RS 主要諸元
全長×全幅×全高:3395×1475×1545mm
ホイールベース:2520mm
重量:860kg
パワーユニット:直3DOHCターボ・658cc
最高出力:47kW<64ps>/6000rpm
最大トルク:104Nm<10.6kgm>/2600rpm
ミッション:CVT(7速マニュアルモード付き)
駆動方式:横置きFF
JC08モード燃費:23.6km/L
タイヤ:165/55R15
価格:174万960円(税込)