コイルスプリングを使用しないサスペンション、トーションバースプリング。現代ではコンパクトカーのリアサスペンションなどに採用されることもあるが、過去にはフロントサスペンションに採用された例もある。では、トーションバースプリングとはなにか。
文:飯嶋洋治
トーションバースプリングってどういうもの?
サスペンションなどに使われるスプリングの形式のひとつで、バネ鋼を棒状のまま使う形式。バネ鋼がねじられることによって、弾性を発揮する仕組みだ。コイルスプリングにくらべると軽量にできることや、省スペース性に優れるなど多くのメリットがある。
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トーションバースプリングもコイルスプリングも素材は同じ。どちらも、バネ鋼の長さによってレートを変える。
1983年に登場したホンダ バラードスポーツ CR-Xのフロントスプリングとしても採用され、スポーティであると同時に、このクルマの場合ノーマルのままでも車高調整ができることで、ユーザーに喜ばれた。事情を知らない人が「このクルマ、スプリングがない」と言ったという逸話も。
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フロントにトーションバースプリングのストラットを採用したバラードスポーツCR-X。
ちなみに近年、バネレートの自由度や剛性確保などさまざまな要因から、乗用車のフロントサスペンション本体のスプリングとしてはあまり見られなくなった。しかし、コンパクトカーを中心としたリアサスペンションや、スタビライザーなどの補助的なスプリングとして、いまも健在だ。
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ホンダ バラードスポーツ CR-X。軽量さにより0→400mは15.20秒で、これは当時のフェアレディZ 300ZXに次ぐ記録だった。
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詳しく知らない人が「このクルマ、スプリングがない」と言ったとか。