文:瀬在仁志/写真:玉井 充
打てば響く、期待を裏切らないBMWらしさ
スーパーカーや超高級車のメーカーが、SUVモデルを投入するのを見るにつけ、そこに宝の山が存在していることがよくわかる。その宝の山にいち早く目をつけたのがBMWだった。
1990年代、ニュルブルクリンクで見たこともない背の高いモデルがすさまじい速度で走っている現場に遭遇したことがある。これが1990年代後半にデビューしたX5だ。その後、数々のSUVモデルを投入し、2018年にいよいよX2をラインアップ。
20年近くを経て、現在のSUV市場の開拓者がいよいよ盤石の態勢を整えたと言っていい。

今回試乗したのは4WDの、BMW X2 xDrive20i M Sport X。
X2はもっとも身近なサイズのクーペSUVだ。ベースとなっているX1の骨太な外観とは対照的に、タワーパーキングに入る1535mmという背の低さと、ルーフからピラーにかけてのラインは流麗で都会的。

X6やX4と異なり、リアガラスは比較的立っている。シルエットは初代X1に似ているが、X2は4ライトキャビン。
走りはその期待を裏切ることなく、BMWらしい正確なライントレースと四駆モデルらしい正確性を実現。旋回中にパワーゾーンに乗せると、シューという排気音と同時にハンドルが少なからず反応するあたり、FFベースであることを伺わせる。しかし、進路に乱れがないところがいかにも近代的な四駆だ。

2L直噴ターボと8速ATの組み合わせも、まるでツインクラッチのようにガツガツっとダイナミックにシフトする。SUVとは思えぬ少ないロールと、進路を乱さぬxDriveならではのパンチが加わって、一体感ある走りを楽しめる。

X2の2L 直4ターボは192ps/280Nmを発生する。
路面を選ばない走行性能はもちろん、打てば響く反応の良いハンドリングはまさにBMWが言うSAC(スポーツアクティビティクーペ)の名がふさわしい。都会的デザインもさることながら、SUV先駆者ならではの切れ味の良いハンドリングこそが、X2最大の持ち味だ。
BMW X2 xDrive20i M Sport Xの主要諸元
●全長×全幅×全高:4375×1825×1535mm ●ホイールベース:2670mm ●重量:1620kg ●エンジン型式・種類・排気量:B48A20A・直4DOHCターボ・1998cc ●最高出力:141kW[192ps]/5000rpm ●最大トルク:280Nm[28.6kgm]/1350-4600rpm ●JC08モード燃費:14.6km/L ●燃料・タンク容量:プレミアム・61L ●トランスミッション:8速AT ●タイヤサイズ:225/45R19 ●価格:515万円

BMW X2のコクピット。ドライバーズシートに座っても走りはじめても、ヒップポイントの低さや運動性能の高さなどから、SUVらしからぬ印象を感じられる。

BMW X2のフロントシート。セダンやワゴンのように、足を投げ出すようにして座るスタイルとなる。さらに、シートのサイドサポートは強めに設定されている。

BMW X2のリアシート。

BMW X2のラゲッジルーム。

BMW X2のフロントマスク。

BMW X2のリアスタイル。

BMW X2のリアスタイル。

BMW X2 xDrive20i M Sport Xのタイヤサイズは225/45R19。

BMW X2については、ホリデーオート9月号もご覧ください。