保守的に思えるトヨタだが、じつはトヨタの歴史はチャレンジの歴史でもあった。時代の先を行き過ぎたクルマから、一体どうした? と首をかしげたくなるクルマまで、トヨタのチャレンジを改めて俯瞰してみる。第4回は「初代 MR2」だ。
クルマ好きには注目されたが販売は伸びず
1984年6月に登場した初代 MR2(AW11型)は、当時登場したばかりのFFカローラをベースにパワートレーンを前後逆にレイアウトしたような日本初のミッドシップスポーツだった。MR2という車名は「Midship Runabout(ミッドシップ・ランナバウト)2シーター」の略だった。
MR2と同様の開発・生産手法は、1970年代にイタリアのフィアットがX1/9ですでに実績があったが、その斬新さに多くのクルマ好きが注目した。初期型の搭載エンジンは3A-LU型1.5L SOHCと4A-GELU型1.6L DOHCだが、注目が集まったのは、やはり後者だった。後期型では、これに1.6Lスーパーチャージャー(4A-GZE型)搭載車も加わったほか、Tバールーフ採用車も設定された。
スーパーカーでしかミッドシップを知らなかった日本のクルマ好きにとって、ちょっと頑張れば誰でも手に入る車両価格で売り出されたMR2だったが、トヨタが期待したほどの成果は残せなかった。2シーターが国内で成功するほど、まだ市場は成熟していなかったのである。
MR2 Gリミテッド(5速MT)主要諸元
●全長×全幅×全高:3925×1665×1250㎜
●ホイールベース:2320㎜
●重量:940kg
●エンジン型式・種類:4A-GELU・直4DOHC
●排気量:1587cc
●最高出力:130ps/6600rpm
●最大トルク:15.2kgm/5200rpm
●10モード燃費:12.8km/L
●燃料・タンク容量:レギュラー・41L
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:185/60R14
●価格(当時):179万5000円~