マツダのSUVで2列シートのCX-5と3列シートのCX-8。この両車の上級モデルには新開発の2.5Lターボ ガソリンエンジンと2.2Lターボディーゼル エンジンの2機種を設定するが、その組み合わせによる違いは気になるところ。さっそく乗り比べて、ベストパフォーマンスモデルを探ってみた。

ガソリンターボはジェントルで、クラス唯一のMTも相性良し!

昨年秋の商品改良で、かねてからウワサのあった2.5LガソリンターボとディーゼルにMTが加わり、ともにパワートレーンの選択肢がさらに豊富になった。そこで今回は、どの組み合わせがベストなのかを探るべく、新たに加わった2台を乗り比べてみた。

画像: 3列目の有無による使い勝手はもちろん、ホイールベースの差による走りの違いもそれなり。外観も共通イメージながら細かい点が異なる。

3列目の有無による使い勝手はもちろん、ホイールベースの差による走りの違いもそれなり。外観も共通イメージながら細かい点が異なる。

件のガソリンターボは自然吸気に対してはもちろん、ディーゼルと比べても上回るピークパワーと匹敵するトルクを誇るから期待できそう…だったのだが、ドライブした印象は思ったよりも控えめ。

前回の改良でディーゼルも大人しめの特性に変更されたわけだが、印象としては似ていて「ターボ」と聞いてイメージするような盛り上がり感はあまりなく、いたってジェントル。排気量の大きな自然吸気っぽいイメージだ。

画像: エンジンルームの見た目は大きく変わらない(左がディーゼル、右がガソリン)。圧縮比はディーゼルが14.4と極めて低く、ガソリン自然吸気の「25S」が13.0と高く、ターボ付きの「25T」も10.5と過給機付きとしては高め。

エンジンルームの見た目は大きく変わらない(左がディーゼル、右がガソリン)。圧縮比はディーゼルが14.4と極めて低く、ガソリン自然吸気の「25S」が13.0と高く、ターボ付きの「25T」も10.5と過給機付きとしては高め。

そういえば両方とも突き詰めると同じようなところに行きつくとマツダの人見常務が語っていたことを思い出した。スカイアクティブというのは、まさしくそういうものということなのだろう。

画像: CX-5のインパネ。商品改良時にエアコンパネルと各種スイッチ、ダイアルのデザインが新しくなり質感と操作性が向上。「マツダ コネクト」はApple CarPlayとAndroid Autoに対応した。こちらの内装色はブラック。

CX-5のインパネ。商品改良時にエアコンパネルと各種スイッチ、ダイアルのデザインが新しくなり質感と操作性が向上。「マツダ コネクト」はApple CarPlayとAndroid Autoに対応した。こちらの内装色はブラック。

むろん音や振動の印象は違って、ディーゼルも今ではかなり良くなったとはいえ、やはりガソリンの方が静かでスムーズ。自然吸気では物足りないが、ディーゼルの音や振動がどうしてもイヤという人に適しているといえそうだ。

画像: CXー8のインパネ。内装色はピュア・ホワイト。商品改良時に前席中央のアームレストが約15mm低くされてしっくりくるように。荷室はフル乗車しても十分なスペースが残り、最大にするとご覧のとおり広大でフラットになる。

CXー8のインパネ。内装色はピュア・ホワイト。商品改良時に前席中央のアームレストが約15mm低くされてしっくりくるように。荷室はフル乗車しても十分なスペースが残り、最大にするとご覧のとおり広大でフラットになる。

ただし、飛び出し感が強めなのが少々気になった。低回転域で少しだけアクセルを踏み増しても回転がグンと跳ね上がり、それがむしろ俊敏に走れて良いと感じる状況もあるものの、発進や再加速時にはいささか煩わしいのは否めず。

おそらくレギュラーガソリン仕様ゆえノッキングを避けるために、こうされたのだと考えられるが、もう少しリニアな方が良い。また、ディーゼルの方が実燃費も倍ぐらい良かった。

画像: CX-5、CXー8のガソリン、ディーゼルいずれにも設定される6速AT。マニュアルモードも備わる。

CX-5、CXー8のガソリン、ディーゼルいずれにも設定される6速AT。マニュアルモードも備わる。

かたやハンドリングはガソリンターボの方が圧倒的に軽快だ。CX-8同士でディーゼルと比べると女性ひとり分ほど前軸重が軽いのだが、感覚としてはもっと違う印象で、回頭感が軽やかで気持ち良く走れる。

画像: CX-5のディーゼルのみにMTを設定。ATに比べギア比が全体的に高めでモード燃費でも大きく上回る。

CX-5のディーゼルのみにMTを設定。ATに比べギア比が全体的に高めでモード燃費でも大きく上回る。

一方のMTは、このクラスで貴重なMTとあって気になっている人も少なくないだろうが、期待どおり楽しかった。

どこからでもついてくる力強い加速力と伸びやかな吹け上がりの両面の性格を兼ね備えたスカイアクティブDの醍醐味を、MTならよりダイレクトに味わえるし、CX-5との相性も上々。シフトフィールにもしっかりとした節度感があり、MTを操ること自体に楽しさがあるところも好ましい。

画像: CX-5のラゲッジスペースは、フル乗車時でも505L(サブトランク含む)。シートバックは40:20:40の3分割可倒式。

CX-5のラゲッジスペースは、フル乗車時でも505L(サブトランク含む)。シートバックは40:20:40の3分割可倒式。

画像: CXー8のラゲッジスペースは、フル乗車時で239L、3列目をたたむと572L。2列目までたたむと最大2320mmの奥行きがある。

CXー8のラゲッジスペースは、フル乗車時で239L、3列目をたたむと572L。2列目までたたむと最大2320mmの奥行きがある。

足回りの印象の違いはセオリーどおり。キビキビとしたCX-5に対し、重くホイールベースが長いCX-8の方が動きが落ち着いている。また、今回試乗した車両が2WDだったせいかCX-5はリアがややバタつくのに対し、4WDで3列シートを念頭に強化されてかCX-8の方がリアまわりの剛性感がある。進化したGベクタリング・コントロール+との相性も良く、操舵に対してリアがよりキレイについてくる印象だった。

画像: CXー8の3列目シートは、CX-5より230mmもホイールベースが延長されているので、広々とはいわないまでも狭苦しくはない。乗り心地も車軸の真上なのでもっとガツガツくるかと思ったが、クッションが厚いのでそうでもなく、シアターレイアウトと広い窓のおかげで閉塞感もあまりない。

CXー8の3列目シートは、CX-5より230mmもホイールベースが延長されているので、広々とはいわないまでも狭苦しくはない。乗り心地も車軸の真上なのでもっとガツガツくるかと思ったが、クッションが厚いのでそうでもなく、シアターレイアウトと広い窓のおかげで閉塞感もあまりない。

いろいろ考えると、現状ではCX-8のディーゼルの4WDが最強か。ガソリンターボの軽快な走りも魅力だが、どうせならもっと刺激が欲しかったかも…。(文:岡本幸一郎/写真:安西英樹)

画像: 2台のマツダSUVを乗り比べる岡本幸一郎レポーター。

2台のマツダSUVを乗り比べる岡本幸一郎レポーター。

CX-5 XDプロアクティブ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4545×1840×1690mm
●ホイールベース:2700mm
●重量:1620kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●排気量:2188cc
●最高出力:190ps/4500rpm
●最大トルク:450Nm/2000rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:横置きFF
●価格:314万8200円

CX-8 25T Lパッケージ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4900×1840×1730mm
●ホイールベース:2930mm
●重量:1690kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:2488cc
●最高出力:230ps/4250rpm
●最大トルク:420Nm/2000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:横置き4WD
●価格:314万8200円

画像: マツダ CX-5 と CXー8 については、ホリデーオート2019年2月号にも掲載されています。

マツダ CX-5 と CXー8 については、ホリデーオート2019年2月号にも掲載されています。

This article is a sponsored article by
''.