月産わずか100台の受注生産車としてスタート
「インプレッサWRX STi(GC8):1994年1月発表・発売」
インプレッサWRXでハイパワーセダン市場に確固たる足場を築いたスバルは、WRCで英国プロドライブ社と連携してワークスチームを運営しているSTiが手がけたチューニングカー、WRX-STiを送り出す。
1994年9月末までの限定販売で、セダン/ワゴン合わせて月100台受注生産する改造車なのでJAF/FIAのホモロゲーション(公認)は取れないが、STiの魔力を知るファンにはこの上ない魅力的なモデルだった。
エンジンは鍛造ピストン&ピン、軽量ハイドロラッシュアジャスター、専用ECU、IC(インタークーラー)ウオータースプレー、大径マフラーなどの採用で、WRXより10㎰アップの250psを発生。トルクも31.5kgmまで強化されている。またワゴンにも同じエンジンが搭載されるのも魅力だった。
駆動系などはWRXと変わらないが、セダンの大型スポイラーやタイプRAと同じBSエクスペディアのタイヤがスタイリングに迫力を与えている。
94年11月にはタイプRAをベースにしたタイプRA STiが月50台の受注生産で登場する。エンジンは強化シリンダーヘッドを備え275ps/32.5kgmまでチューンされたが、技術的ハイライトはセンターデフにSTiオリジナルのDCCDが採用されたことだった。
これは遊星歯車式センターデフに電磁クラッチ式LSDを組み合わせたもので、センターデフのロック率をフリーからロックまでマニュアルで制御できるシステムのこと。これによりタイプRA STiは他を寄せ付けない圧倒的な運動性能を発揮することになる。
インプレッサ セダン WRX STi(1994年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4340×1690×1405mm
●ホイールベース:2520mm
●重量:1220kg
●エンジン型式・種類:EJ20型・水平対向4 DOHCターボ
●排気量:1994cc
●最高出力:250ps/6000rpm
●最大トルク:31.5kgm/3500rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:205/55R15
●価格:277万8000円