ランサーエボリューションとともに、WRC競走用ベースマシンにして公道最速を目指した究極のロードカー、スバル・インプレッサWRX STIの系譜を紹介していこう。今回は第1世代の最終型、STiバージョンVIだ。

限界までチューンし尽くした第1世代WRX STiの最終型

「インプレッサWRX STiバージョンVI(GC8型:1999年9月発売)」

画像: 高速域での空力効果の大きい翼断面形状のリアスポイラーは、バージョンⅤから継続して採用された。

高速域での空力効果の大きい翼断面形状のリアスポイラーは、バージョンⅤから継続して採用された。

GC8系インプレッサをベースとした最終モデルとなるSTiバージョンⅥは、メカニズム面での改良はやりつくした感があり、バージョンⅠから積み上げてきた性能向上策をすべて取り入れた上で、完全な調整を図る方向でチューニングされた。

エンジン、シャシ、空力向上策の集大成でもあり、最も完成されたGC8型のSTiバージョンと言ってもいい。

画像: インパネはホワイトメーター、MOMO製ステアリングなど、バージョンIVで大きく変わったパターンを踏襲。

インパネはホワイトメーター、MOMO製ステアリングなど、バージョンIVで大きく変わったパターンを踏襲。

スバルは「バージョンⅥとなるにあたって、ひとつの課題が高速走行時における空力性能のアップだった」と言い、STi全車のリアスポイラーの翼断面形状を一新してリアのダウンフォースを高めたほか、タイプRAを除くSTiモデルのフロントバンパー下部にアンダースポイラーを追加してリフトを低減させている。

画像: 93φの大口径スポーツマフラーを採用。背圧の低減を図り、レブリミットは7900rpmに高められた。

93φの大口径スポーツマフラーを採用。背圧の低減を図り、レブリミットは7900rpmに高められた。

さらに、車体の軽量化はもとより、フロントまわりの荷重を軽減して回頭性の向上に貢献する軽量なアルミボンネットを全車に採用。こうした細かい改良の積み重ねで、ハンドリングは一段と凄みを増した。

画像: エンジンは標準のWRXの最大トルク31.5kgmに対し、ファインチューンで36.0kgmにまで高められている。

エンジンは標準のWRXの最大トルク31.5kgmに対し、ファインチューンで36.0kgmにまで高められている。

バージョンVでフェーズIIに進化したエンジンは、バージョンVIでも出力/トルク値は変わらないが、トルクの谷を解消した出力特性により発進・加速性能を向上させた長所を生かしきるため、タイプRAとタイプR STiは専用クロスレシオのトランスミッションを採用。さらにSTi全車にストロークを40mmに短縮したスーパークイックシフトが組み合わされた。

バージョンVIはGC8型STiの最後を飾るにふさわしい熟成されたモデルだったと言えるだろう。

画像: バージョンVIのボディタイプは、写真の2ドアクーペのほか、セダン、スポーツワゴンを用意。2ドアクーペはこれが最後となる。

バージョンVIのボディタイプは、写真の2ドアクーペのほか、セダン、スポーツワゴンを用意。2ドアクーペはこれが最後となる。

インプレッサ・クーペWRX STiバージョンVI(1999年)主要諸元

●全長×全幅×全高:4350×1690×1405mm
●ホイールベース:2520mm
●重量:1260kg
●エンジン型式・種類:EJ20型・水平対向4 DOHCターボ
●排気量:1994cc
●最高出力:280ps/6500rpm
●最大トルク:36.0kgm/4000rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:205/50R16
●価格:300万9000円

画像: インプレッサWRX STIの系譜は、ホリデーオート2019年5月号でも紹介しています。

インプレッサWRX STIの系譜は、ホリデーオート2019年5月号でも紹介しています。

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