1970年のトリノショーに注目すべきモデルが登場している。パオロ・スタンツァーニが生み出したその新しいスーパーカー、「ウラッコ」は論理的なメカニズムで構築された意欲作だった。

4人が乗れる「小さなミウラ」

1970年に登場したランボルギーニ・ウラッコは、ディーノ246を意識して開発されたモデルだったが、そこにはパオロ・スタンツァーニらしい画期的なアイデアが盛り込まれていた。

ギアボックスとV8エンジンを横置きしていたウラッコは、素晴らしいハンドリングとふたり分のリアシートのスペースを確保していた。さらにプレス製のモノコックボディや前後ストラットのサスペンションなど「大量生産」を見据えた設計もなされていた。しかもミウラと同様、ベルトーネのマルチェロ・ガンディーニによる美しいスタイリングを持っており、優れた性能を持ちながらミウラよりもはるかに低い価格で販売できることから、成功は間違いないと思われていた。この新型車のためにランボルギー二は工場を拡張するほどだった。

ウラッコはすぐに好評を博し、ランボルギーニには多くの注文が舞い込んだが、ウラッコが大成功を収めたかというとそうでもなかった。ランボルギーニは怖ろしいほどの高性能を誇るV12エンジンを搭載して人気となったブランドであり、たしかにミウラと比べるとウラッコは迫力に欠けていた。やはりランボルギーニは12気筒でなければならなかったのだ。ディーノのV6に対して、ウラッコはV8エンジンを搭載したが、当時の顧客がランボルギーニに求めていたのは合理的な選択ではなかったのかもしれない。生産を開始する頃(1973年)に起きた石油ショックも大きな打撃となった。

ベビー・ランボルギーニのコンセプトは、ウラッコの後、「シルエット(1978年)」、「ジャルパ(1981年)」へと受け継がれていくが、1988年にこの流れは一度途絶える。そして、そのコンセプトは、2003年、V10エンジンを搭載した「ガヤルド」で復活し大成功。V8エンジン搭載車も2017年デビューのウルスで再び脚光を浴びることになる。

画像: ウラッコ。2463ccのV8エンジンを搭載したP250に始まり、2997ccV8のP300、イタリア国内専用に1995ccV8エンジンを搭載したP200もラインアップされた。

ウラッコ。2463ccのV8エンジンを搭載したP250に始まり、2997ccV8のP300、イタリア国内専用に1995ccV8エンジンを搭載したP200もラインアップされた。

ランボルギーニ ウラッコ主要諸元

●全長×全幅×全高=4250×1760×-mm
●ホイールベース=2450mm
●エンジン=V8SOHC
●排気量=2463cc/2997cc/1995cc
●最高出力=220ps(P250)、250ps(P300)、180ps(P200)
●トランスミッション=5速MT
●駆動方式=MR
●最高速=220-250km/h
●生産=1972-1979年●生産台数=520台(P250)、194台(P300)、66台(P200)

画像: ベルトーネによって手が加えられ、2シーターとして登場した、ウラッコの後継モデル、シルエット。ルーフはタルガトップ。

ベルトーネによって手が加えられ、2シーターとして登場した、ウラッコの後継モデル、シルエット。ルーフはタルガトップ。

ランボルギーニ シルエット主要諸元

●エンジン=V8DOHC
●排気量=2997cc
●最高出力=250ps
●トランスミッション=5速MT
●駆動方式=MR
●最高速=260km/h
●生産=1976-1979年
●生産台数=55台

画像: シルエットの基本メカニズムをベースとしながら、生まれ変わったジャルパ。デザインはマセラティから移籍したジュリオ・アルフィエーリ。エンジンは3485ccに拡大された。

シルエットの基本メカニズムをベースとしながら、生まれ変わったジャルパ。デザインはマセラティから移籍したジュリオ・アルフィエーリ。エンジンは3485ccに拡大された。

ランボルギーニ ジャルパ主要諸元

●全長×全幅×全高=4330×1880×1140mm
●ホイールベース=2450mm
●エンジン=V8DOHC
●排気量=3485cc
●最高出力=250ps
●トランスミッション=5速MT
●駆動方式=MR
●最高速=248km/h
●生産=1981-1988年
●生産台数=420台

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