プラットフォームだけでなく、エンジンやギア付きCVTも同時に発表
ダイハツはエンジンやトランスミッション、プラットフォームなどを含む新技術を公開した。総称してDNGA(Daihatsu New Global Architecture)と呼ばれる、新世代のダイハツ流クルマづくりである。
これは今後さらに進むであろう自動車の進化を見据えた設計思想が取り入れられ、おもにCASE(コネクテッド・自動化・シェアリング・電動化)に対応しやすいものとなっている。たとえばプラットフォームであれば、電動化に向けたバッテリーの搭載位置や、自動化/コネクテッドの電子プラットフォーム設定などを織り込んだ設計となっている。
ただ電動化やコネクテッドなどは将来的な話で、直近のことで言えば2019年7月に発売されるであろう新型タントで最初に採用されることになる。つまり新型は、プラットフォームからパワートレーンまですべて刷新されたもので、乗り心地や快適性能、室内空間の広さを含めた使い勝手の良さなどが期待されている。しかし、発売まで少し時間があるので詳細が発表まで少しだけ待つ必要がありそうだ。
さて、新型発表の前にすでに公開されている新技術を紹介していこう。
新しいプラットフォームは日本の軽自動車サイズを基準に設計され、これよりも大きな小型車にまでボディサイズを拡大することができるフレキシブルさを持つ。具体的にはダイハツ ブーンのような「Aセグメント」、トヨタ ヴィッツのような「Bセグメント」、さらに少し全長を伸ばした3列シートのBセグメントにまで対応できるという。
大幅な軽量化による燃費向上やボディ剛性のアップ、衝突安全性の向上などユーザーメリットが多い一方で、複数車種間でのパーツやその取り付け位置の共通化など、メーカーメリットも大きい。さらに開発期間も短縮できることから、新車投入ペースも早められ、2025年までにグローバル市場で15ボディタイプ/21車種もの展開を予定しているという。
エンジンもすべての部品が見直され、さらに高負荷時、点火プラグによる2回の放電を行う「マルチスパーク」やガソリン噴霧形状の変更などの新技術を投入することにより、燃焼効率や燃費といった多くの性能の向上が見られるという。
今回発表された新技術の中でも、注目されていたのが新しいトランスミッション「D-CVT」だ。150Nmまでのエンジンに対応する小型車向けの無段変速機であるが、プーリーの大きさとベルトで変速する従来のものとは異なり、遊星ギアを内蔵したベルト+ギア駆動のCVTである。
低速域はプーリーとベルト駆動とし、高速域に入るとギア駆動へと切り替わる仕組みだ。これによりトランスミッションの変速幅が拡大され、60km/h走行時のエンジン回転数は従来より200rpm、100km/h走行時には550rpmも下げられるという。燃費だけでなく静音性の大きな向上も期待できそうだ。
ギア付きCVTと言えば、トヨタのダイレクトシフトCVTを思い浮かべる人もいるかもしれないが、これは発進レスポンスの良い1速ギアを有するものであり、今回発表された「D-CVT」とは開発された目的が異なるのだ。
また、各自動車メーカーが開発を競っている先進運転支援システムの充実化も新技術のひとつ。駐車枠自動検出機能や自動操舵機能などを組み合わせた「スマートパノラマパーキングアシスト」や、ステレオカメラによる全車速追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)、レーンキープコントロールなど、ドライバーを支援するシステムが充実されてきた。
先にも書いたがこうした技術はまず7月発売予定のタントに搭載される。そして、年内に登場するであろうDNGA第2弾も控えているというから、こちらも楽しみである。