クルマに「名車」と呼ばれるモデルが存在するように、エンジンにも「名機」と呼ばれる優れたものがある。ここでは、1960年代から90年代の国産スポーティFR車に搭載された、そうしたハイパフォーマンスなエンジン10基を紹介していきたい。

日産 FJ20E:1981年登場

画像: 真っ赤な結晶塗装のヘッドカバーとチャンバー、NISSANやDOHC 16VALVE のロゴなど、見られることを意識したエンジンでもあった。

真っ赤な結晶塗装のヘッドカバーとチャンバー、NISSANやDOHC 16VALVE のロゴなど、見られることを意識したエンジンでもあった。

S20型の消滅後、待望の日産DOHCとして1981年10月に登場したのが、FJ20E型だ。S20と同様レースへの投入を前提にしたため、鋳鉄ブロックや5ベアリング8カウンターウエイトのクランクシャフト、2ステージダブルサイレントチェーンによるカムシャフト駆動など、小型軽量化より高速耐久性を重視した機構が採用された。

バルブはアルミヘッドのペントルーフ燃焼室に挟角60度で吸排気各2個を配した4バルブで、カムダイレクト駆動されるが、さらに固有振動数の高い等ピッチダブルスプリングを入れてバルブ追従性を高めたところに、連続高回転に対応する日産の意思が見える。

画像: スカイライン強化策の一環として、1981年10月に追加されたDR30型RSにFJ20Eを搭載。83年2月にRSターボとなり、84年2月にはインタークーラーを追加して205ps/25.0kgmまでチューンしたRS-Xに進化を遂げた。

スカイライン強化策の一環として、1981年10月に追加されたDR30型RSにFJ20Eを搭載。83年2月にRSターボとなり、84年2月にはインタークーラーを追加して205ps/25.0kgmまでチューンしたRS-Xに進化を遂げた。

燃料供給はシーケンシャルインジェクションで行う。ポイントは、その制御に燃料噴射、点火時期、アイドル回転数、排出ガス還流、空燃比フィードバック、ノッキングなどの各制御を行うECCS(エンジン集中電子制御システム)を日産の4気筒エンジンで初めて採用したことだ。

画像: 1982年4月、S110型シルビア(および姉妹車のガゼール)にもFJ20Eを搭載したRSが登場した。

1982年4月、S110型シルビア(および姉妹車のガゼール)にもFJ20Eを搭載したRSが登場した。

こうして初期のFJ20E型は2Lとしては申し分ない150psの最高出力を発生したが、当時ターボ攻勢を強めていた日産車には、やはりターボが求められた。結果、1983年2月にターボを装着して190psとなったFJ20ETを投入。さらに、1984年2月にはインタークーラーを装着して205psにまで強化されていくことになる。

画像: 1983年8月フルモデルチェンジしたS12型シルビア/ガゼールにも搭載され、ボンネットの大型バルジが目を引いた。

1983年8月フルモデルチェンジしたS12型シルビア/ガゼールにも搭載され、ボンネットの大型バルジが目を引いた。

名機10選のバックナンバー

FJ20E 主要諸元

●型式:FJ20E
●主要搭載車種:R30型スカイライン2000RS
●発表年月:1981年10月
●配置・気筒数:水冷直列4気筒・縦置き
●バルブ駆動機構:DOHC・2段式チェーン
●気筒あたりバルブ数:4(吸気2/排気2)
●過給器:なし
●燃焼室形状:ペントルーフ
●総排気量1990cc
●ボア×ストローク:89.0×80.0mm
●圧縮比:9.1
●最高出力:150ps/6000rpm
●最大トルク:18.5kgm/6000rpm
●燃料供給装置:ECCS(電子制御燃料噴射)
●燃料・タンク容量:プレミアム・65L
●燃費:10.0km/L(10モード)

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