クルマに「名車」と呼ばれるモデルが存在するように、エンジンにも「名機」と呼ばれる優れたものがある。ここでは、1960年代から90年代の国産スポーティFR車に搭載された、そうしたハイパフォーマンスなエンジン10基を紹介していきたい。

トヨタ 3T-GTEU:1982年登場

画像: ヘッドカバーには「TWIN CAM turbo」のロゴが入る。ツインプラグ化による8本のイグニッションコードも目を引く。

ヘッドカバーには「TWIN CAM turbo」のロゴが入る。ツインプラグ化による8本のイグニッションコードも目を引く。

このエンジンがデビューした当時、巷の話題だった「DOHCかターボか」論戦に終止符を打ったのが、3T-GTEUだ。2T-G型同様3T型のOHVにヤマハが開発したDOHCヘッドを架装するが、そこにターボを装着した。

このエンジンはカリーナなどにも搭載され、ATを設定して汎用性も主張したが、やはり主力はWRC制覇を狙った3代目(A60型)セリカだった。

4代目のT160型が競技車両を4WDにしたこともあり、最後のFRセリカのスーパーバージョンとして認知されている。

画像: 3T-GTEUを搭載して1982年10月に発売されたセリカ1800GT-T。A60型セリカの最強バージョンで、剛性に配慮しLBでなくクーペが選ばれた。

3T-GTEUを搭載して1982年10月に発売されたセリカ1800GT-T。A60型セリカの最強バージョンで、剛性に配慮しLBでなくクーペが選ばれた。

3T型のDOHC化は、基本的に2T-Gと同じ手法だ。ベースがT型なので、鋳鉄シリンダーブロックに5ベアリング・8バランスのクランクシャフトを組む。ボアが2T型と同寸なので、動弁機構も2T-Gに準じる。

ただストロークが2Tより8mm長いので、クランクシャフトは3T用のフィレット部にローラー加工を施したものを使用。ターボ追加による高出力に耐えるピストンピンやコンロッドの強化なども当然行われた。

画像: 当時のコロナは多くのエンジンを搭載していたが、最もスパルタンだったのが3T-GT搭載車。写真のセダンはGT-TR、HTはGT-Tと呼び名を変えている。

当時のコロナは多くのエンジンを搭載していたが、最もスパルタンだったのが3T-GT搭載車。写真のセダンはGT-TR、HTはGT-Tと呼び名を変えている。

2T-Gと決定的に異なるのは、火炎伝播時間を短縮するため気筒あたり2プラグとしたことだ。そのため2段配電式デストリビューターと2個のイグニッションコイルを搭載する。同時に燃焼室形状も半球形・単球形とし、吸気側にスワールポート形状を採用して燃焼速度を高めるなど、燃焼室内の燃焼状態に注目し始めたのがわかる。

注目のターボチャージャーはトヨタ内製で、最高11万rpmに対応するためフルフローティングベアリングを採用した。過給圧制御は380mmHgでウエイストゲートバルブが開く設定で、これを超えた場合530mmHgでフュエルカットが作動する安全策も併用されている。

3T-GTEUの整備重量は、MT用が166kg、AT用が159kgと公表されている。

画像: セリカ、コロナと同時に姉妹車のカリーナにも3T-GTEUを搭載。写真の3ドアクーペはGT-T、4ドアセダンはGT-TRと名づけられた。

セリカ、コロナと同時に姉妹車のカリーナにも3T-GTEUを搭載。写真の3ドアクーペはGT-T、4ドアセダンはGT-TRと名づけられた。

名機10選のバックナンバー

トヨタ 3T-GTEU 主要諸元

●型式:3T-GTEU
●主要搭載車種:SA60型セリカ 1800GT-T
●発表年月:1982年10月
●配置・気筒数:水冷直列4気筒・縦置き
●バルブ駆動機構:DOHC・2段式チェーン
●気筒あたりバルブ数:2(吸気1/排気1)
●過給器:内製ターボ
●燃焼室形状:半球形
●総排気量:1770cc
●ボア×ストローク:85.0×78.0mm
●圧縮比:7.8
●最高出力:160ps/6000rpm
●最大トルク:21.0kgm/4800rpm
●燃料供給装置:EFI(電子制御燃料噴射)
●燃料・タンク容量:プレミアム・61L
●燃費:11.2km/L(10モード・5速MT)

This article is a sponsored article by
''.