“スーパーカーの帝王”として君臨したカウンタック
マルチェロ・ガンディーニによるエキセントリックなデザイン、ダラーラ監修のもとパオロ・スタンツァーニが手掛けたセミモノコックのボディ&シャシ、そこに搭載された5LのV12エンジン。あまりにスーパーゆえ、1971年のジュネーブショーに「LP500」として展示されてからも開発は継続され、市販型「LP400」が登場したのは3年後の1974年まで待たねばならなかった。
結局、市販モデルとなった「LP400」は、剛性不足解消のため骨格をセミモノコックからバードケージ状に組み上げられた鋼管スペースフレームに変更されたが、V12エンジンを前後逆に縦置き搭載し、トランスミッションを左右座席間に配置する特異なレイアウトはLP500を踏襲して採用された。駆動力はエンジンから前方のトランスミッションに入り、そこから後方に向けてオイルサンプを貫通するシャフトを介して、リアデフに伝達される。
この凝った方式により、縦置きミッドシップながらホイールベースをミウラ(V12横置き)よりも50mm短い2450mmに収めることに成功。前後重量配分の改善やロングホイールベースによる操縦性悪化の解消のほか、リンケージを介さずに変速ができるためシフトフィーリングもダイレクトになっている。
一方、LP400に搭載されたエンジンはミウラで実績を積んだ4L V12 DOHC。燃料供給はウエーバー45DCOEツインチョークキャブレター×6で行う。ちなみにLP500発表時のスペックは4971ccから400psを絞り出し、最高速は300km/hだった。それに対して市販型のLP400は3929ccで出力も375psに抑えられていたものの、最高速度はLP500と同じ300km/hと公表された。
1978年には最初のエボリューションモデルである「LP400S」が登場した。カナダの石油王でありF1チームオーナーであったウォルター・ウルフが別注した3台のカスタムLP400を参考に、ダラーラによって性能向上が図られたモデルである。リアに超偏平のピレリP7(345/35ZR15)を履くため、それを覆うワイドなオーバーフェンダーが追加され大型リアウイングが装着されるなど、一段とどう猛な印象を強めている。
1980年代に入っても進化を続けたカウンタックは、1982年に4754ccのV12を搭載した「LP500S」を発売。1985年にはDOHCを4バルブ化した「5000QV(クワトロバルボーレ)」を発表するなど、1990年に後継車であるディアブロにその座を譲るまで、16年の長きに渡って“スーパーカーの帝王”の座に君臨し続けた。