昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。今回は昭和56年発売のトヨタ セリカXX 2800GTだ。

排出ガス規制後、久々の最高速200km/hオーバー!

トヨタ セリカXX 2800GT:昭和56年(1981年)7月発売

画像: エッジの効いた直線基調のスタイル。テスト値で、最高速度は208.09km/h、0→400m加速は16.01秒とというハイパフォーマンスを発揮した。

エッジの効いた直線基調のスタイル。テスト値で、最高速度は208.09km/h、0→400m加速は16.01秒とというハイパフォーマンスを発揮した。

昭和56年(1981年)7月にフルモデルチェンジを受けたセリカXXは、すでに同年2月にデビューを果たしていたソアラとシャシ/コンポーネンツを共用するクルマとして登場した。

ソアラが高級スペシャリティカーとして、端正なデザインの2ドアノッチバックのボディを与えられたのに対し、XXはリトラクタブルヘッドランプを備えた先鋭的な3ドアHB(ハッチバック)ボディをまとい、直線を基調としたサイドラインの組み合わせにより、美しさや若々しさを表現し、そのスポーツ性を強調した。

インテリアもなかなか凝ったものとなった。最上級グレードの2800GTでは、無段階調整が可能な空気式ランバーサポート、シートクッションの前縁部の高さを調整するサイサポートアジャスターなどにより的確なドライビングポジションを取れる8ウエイスポーツシートや、ステアリングにはスポーティでメーター視認性に優れた新デザイン2本スポークタイプを採用。インパネは当時の流行ともいえるインパネから指針をなくした「エレクトロニック・ディスプレイ・メーター」だった。

画像: 当時の新型車に競って採用されたデジタルメーターは2800GTにのみ標準装備となった。なお、オプションでナビコン(写真ダッシュボード上)が装着できたが、これはカーナビの原点とも言えるものだ。

当時の新型車に競って採用されたデジタルメーターは2800GTにのみ標準装備となった。なお、オプションでナビコン(写真ダッシュボード上)が装着できたが、これはカーナビの原点とも言えるものだ。

2800GTのエンジンは2.8Lの5M-GEUで、これはソアラに搭載されたものと同じだ。6気筒DOHCで、燃料供給方式はEFI。最高出力は170ps/5600rpm、最大トルクは24.0kgm/4400rpmを発生し、当時としては国内最強のスペックを誇った。

廉価版の2Lモデルについても少し触れると、SOHCの1G-EUエンジンを搭載。こちらは6気筒SOHC、燃料噴射装置はEFIで最高出力は125ps/5400rpm、最大トルクは17.5kgm/4400rpmを発生した。82年2月には2L SOHCターボのM-TEU型を搭載する新グレードのSターボとGターボを追加。これは、ツインセンサー付きノックコントロールシステム、吸気スワールポートなどの組み合わせで、最高出力は145ps/5600rpm、最大トルクは21.5kgm/3000rpmまで動力性能をアップした。

このターボモデルはソアラと同様、AT仕様のみの設定だったが、まだ3ナンバーと5ナンバーの税金格差が大きかった時代だけに、手軽にハイパワーを楽しみたいユーザーに高い支持を得た。

画像: 2000GT以来久々に登場した直6DOHCが5M-GEU型。2.8Lという大排気量を誇り、トヨタの高級車にはなくてはならないエンジンであった。

2000GT以来久々に登場した直6DOHCが5M-GEU型。2.8Lという大排気量を誇り、トヨタの高級車にはなくてはならないエンジンであった。

2800GTのトランスミッションは、5速MTのほかに2ウエイオーバードライブ付4速オートマチックトランスミッションも設定されていた。これは、オーバードライブの4速で54km/hに達するとトルクコンバータ内部の油圧制御ロックアップクラッチ機構が作動し、中高速時のトルクコンバータのロスをなくして燃費を向上させるというシステムとなっている。

車重はソアラとほぼ同じレベル(GT:1235kg)だったものの、Cd値が0.35で、しかも前面投影面積が小さく空力的に有利なXXは、国産車としては久しぶりに実測で200km/hの壁を突破する208.09km/hの最高速度を記録。0→400mの加速性能も16.01秒と、その速さを見せつけた。

サスペンションも基本的にソアラと同じで、前:ストラット、後:セミトレーリングアームを採用していた。ただ、フロントに関してはトレッドを広げ、キャスター角を大きくし、キングピンオフセットを小さくするなど設計を新たにしていた。

サスペンションを取り付けるボディ側は、大幅にサイズアップしたフロントサイドメンバーをはじめ、各部材の最適設計によって剛性を高めていた。乗り味はソアラに比べてスポーツ志向ということもあり、かなり硬めだった。

画像: 丸みを帯びたボディが80年代の主流になるが、XXの登場時にはまだ角張ったボディのクルマが多かった。

丸みを帯びたボディが80年代の主流になるが、XXの登場時にはまだ角張ったボディのクルマが多かった。

走りとは直接関係ないが、新装備として注目されるのは「ナビコン」だ。これは出発地から目的地までの方向と距離を入力することにより、運転中に目的地の方向と距離、到達度などが常時表示される世界初の機構で、2800GTにオプションで選択できた。現代のカーナビの始祖的なものと考えていいだろう。

さらに速度設定、速度変更、解除、復帰の機能をひとつのスイッチで操作できる「マイコン式オートドライブ」など、当時の最新鋭の装置を備えていたのも特徴だ。

画像: 1982年8月に追加された、XX2000GTツインカム24。日産のFJ20型に対抗してトヨタが送り出した2Lの直6DOHC、1G-EU型を搭載。5ナンバーで乗れるスポーティカーとして市場に投入した。

1982年8月に追加された、XX2000GTツインカム24。日産のFJ20型に対抗してトヨタが送り出した2Lの直6DOHC、1G-EU型を搭載。5ナンバーで乗れるスポーティカーとして市場に投入した。

トヨタ セリカXX 2800GT 主要諸元

●全長×全幅×全高:4660×1685×1315mm
●ホイールベース:2615mm
●重量:1235kg
●エンジン型式・種類:5M-GEU型・直6 DOHC
●排気量:2759cc
●最高出力:170ps/5600rpm
●最大トルク:24.0kgm/4400rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:195/70HR14
●価格:232万3000円

昭和の名車のバックナンバー

This article is a sponsored article by
''.