スーパーカーといえばエンジンはミッドシップ…と思われがちだが、コンベンショナルなFR(フロントエンジン リアドライブ)を採用しているモデルも、1960年代から21世紀の現代まで数多く存在する。そこで、FRならではの美しい佇まいも備えたスーパースポーツカーを紹介する連載企画をお届けしよう。

MASERATI Gran Turismo:マセラティ グラントゥーリズモ(2007-)

画像: グラマラスで塊感が強いスタイリング。460psのパワーを生かすべく重量配分から徹底的に考え尽くされたものだ。

グラマラスで塊感が強いスタイリング。460psのパワーを生かすべく重量配分から徹底的に考え尽くされたものだ。

マセラティ社を傘下に収めていたシトロエン社は、1976年にPSAグループに編入されたのを機にマセラティ社を手放す。倒産寸前のマセラティ社を救ったのは、イタリアのスポーツカー メーカー、デ・トマソ社だった。同社の傘下で、マセラティは中型スポーツクーペのビトゥルボ(イタリア語でツインターボの意味)を生産し、これがヒットするが、かつてのギブリやカムシンのようなFRスーパースポーツカーは、しばらく造られることはなかった。

1993年にマセラティ社はフィアットグループ傘下に入り、1997年からはフェラーリの子会社となった。そんなマセラティが久しぶりに送り出したFRスーパースポーツカーが1998年に登場した3200GTで、その名のとおり3.2LのV8ツインターボエンジンを搭載していた。3200GTは、2002年にマセラティ クーペへと進化した。

画像: 全長は4.9mあまり、全幅も1.9mあまりと、現代のFRスーパースポーツカーらしく、けっこうサイズは大柄になった。

全長は4.9mあまり、全幅も1.9mあまりと、現代のFRスーパースポーツカーらしく、けっこうサイズは大柄になった。

ここで紹介するグラントゥーリズモは、3200GT〜マセラティ クーペの流れを引く、現在のマセラティのフラッグシップ クーペだ。発表は2007年。フロントには、フェラーリ製のV8 DOHCユニットを搭載。そのサウンドは、本家のフェラーリより官能的に思えるほどだ。シャシなどの機構的には、フラッグシップ サルーンであるクワトロポルテのホイールベースを詰めた成り立ちである。

プラス2のリアシートを備え、超高性能かつ実用的というマセラティ車の伝統をしっかりと受け継いでいる。ピニンファリーナの手がけたグラマラスなスタイリングは一見GTカー的だが、その中身はリアルスポーツといって良いものだ。21世紀のスーパースポーツカーらしく、けっこうサイズは大柄だ。

画像: ステアリングやシフトノブなど、各所にカーボン素材を使用しているのが目立つコクピット。かなりスポーティに振った感じだ。

ステアリングやシフトノブなど、各所にカーボン素材を使用しているのが目立つコクピット。かなりスポーティに振った感じだ。

当初導入された標準的なATモデルの前後重量配分は49:51だったが、V8エンジンを4.7Lに拡大したグラントゥーリズモSでは2ペダルセミATをリアのトランスアクスル配置として47:53を実現。グラントゥーリズモ・スポーツでは460psまで強化された。

2009年にはグラントゥーリズモをベースにオープン化したグランカブリオもデビュー。優雅なソフトトップを備えた、美しいオープンモデルだ。

グラントゥーリズモはデビュー以来10年以上を経過しているが、その美しさとパフォーマンスは色褪せていない。「アルフィエーリ」という後継モデルが発表されているが、発売までにはもう少し時間がかかりそうだ。

画像: 2009年にデビューしたグランカブリオ。優雅に乗りこなすなら、こちらを。

2009年にデビューしたグランカブリオ。優雅に乗りこなすなら、こちらを。

マセラティ グラントゥーリズモ スポーツ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4910×1910×1380mm
●ホイールベース:2940mm
●車重:1880kg
●エンジン形式・排気量:90度V8 DOHC・4691㏄
●最高出力:460ps(338kW)/7000rpm
●最大トルク:520Nm(53.0kgm)/4750rpm
●燃料タンク容量:86L
●トランスミッション:6速AT
●タイヤサイズ:245/35ZR20

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