1980年代のクルマといえば、ハイソカー、街道レーサー、そしてボーイズレーサーが人気を博していた。この連載では、ボーイズレーサーと呼ばれた高性能でコンパクトなハッチバックやクーペたちを紹介していこう。今回は「ミラージュII 1400ターボ(A152A)」だ。

三菱 ミラージュII 1400ターボ(A152A型・1982年2月発売)

画像: ボンネット上のエアスクープが勇ましい。ヘッドライトはマイチェン前は定型の角型2灯だったが、ミラージュIIではスラントした異型の角型2灯となった。

ボンネット上のエアスクープが勇ましい。ヘッドライトはマイチェン前は定型の角型2灯だったが、ミラージュIIではスラントした異型の角型2灯となった。

三菱 ミラージュの初代がデビューしたのは、1978年(昭和53年)3月。1.4Lを中心としたFF2ボックスで、当時の日本車としては垢抜けたヨーロッパ車的なスタイリングと、スーパーシフトと呼ばれる副変速機を採用するなどして話題を呼んだ。1979年には1.6Lエンジンを搭載して足回りを強化した1600GTが追加されるが、ボーイズレーサーと呼べるほどの高性能なモデルとは言いがたかった。

そして1982年2月、ミラージュはマイナーチェンジされて車名もミラージュII(ツー)と呼ばれるようになる。外観ではヘッドライトが異型2灯式になる程度で、あまり大きな変更はされていないが、当時のターボブームの影響を受けて、ターボエンジン搭載車が新設定されたのが大きなポイントだった。

画像: 運転席は「走りを予感させるターボコクピット」と謳われていた。タコメーターのレッドゾーンは6000rpmから。

運転席は「走りを予感させるターボコクピット」と謳われていた。タコメーターのレッドゾーンは6000rpmから。

車名は単に「1400ターボ」だったが、3ドアハッチバックのボディに当時としては国産最小排気量ターボとなる1.4LのG12B型オリオンエンジンを搭載した。ちなみに、このミラージュII 1400ターボが日本初のFFターボ車として名を残すことになる。

ターボチャージャー本体には、タービン径47mm/コンプレッサー径49mm/重量3.5kgという当時国内最小の三菱重工製TC07型を採用。これをメインに、独自開発のノックセンサーやウエストゲートバルブ、オーバーブーストコントロールを組み込んだコンパクトなシステムを開発している。

画像: 105psを発生すると同時に10モード燃費16.4km/Lの低燃費性能でも注目された。

105psを発生すると同時に10モード燃費16.4km/Lの低燃費性能でも注目された。

ターボとしては高い9.0の圧縮比とダウンドラフト2バレルキャブレター1基を組み合わせて得て、最高出力は105ps/5500rpm、最大トルクは15.5kgm/3000rpmを発生。このパワースペックは、排気量で187cc勝る前述のミラージュ 1600GT(88ps/13.5kgm)より17psと2.0kgmも強力だった。モーターマガジン誌の実測テストで、最高速度は168.22km/h、0→400m加速は16.56秒という俊足を誇り、同クラスのライバルに衝撃を与えた。

サスペンションもターボ専用にチューニングされ、スプリングとショックアブソーバーが強化されたほか、センターベアリングを介在させた等長ドライブシャフトを初採用してトルクステアを抑制するなど、オーバークオリティとも言える先進技術が導入されていたのも特徴だった。

外観では、ボンネット上のエアスクープがターボモデルの識別点だった。ミラージュの売りだったスーパーシフトも継承されており、見ても走っても楽しいクルマだった。

画像: 車名はミラージュIIとなったが、ボディパネルなど基本的にはマイチェン前と大きく変わっていない。

車名はミラージュIIとなったが、ボディパネルなど基本的にはマイチェン前と大きく変わっていない。

ボーイズレーサー伝

ミラージュII 1400ターボ(1982年)主要諸元

●全長×全幅×全高:3780×1585×1350mm
●ホイールベース:2300mm
●重量:820kg
●エンジン型式・種類:G12B型・直4 SOHCターボ
●排気量:1410cc
●最高出力:105ps/5500rpm
●最大トルク:15.5kgm/3000rpm
●トランスミッション:4速×2MT
●タイヤサイズ:165/70SR13
●価格:118万6000円

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