Aクラス ブラザーズ中、もっともスタイリッシュでスポーティ
MFA(メルセデス・フロントドライブ・アーキテクチャー)2と呼ばれる新世代プラットフォームを採用したAクラス ブラザーズは続々と増殖し、日本に導入されつつある。まず4代目にフルモデルチェンジされたAクラスが2018年秋に日本デビュー。その後、Bクラス、Aクラス セダン、そして今回紹介する4ドアクーペのCLA(と、そのワゴン版であるCLAシューティングブレーク)と、矢継ぎ早に日本に導入。本国ではGLAとGLBというSUVも発表された。この2車種も、2020年の早い時期には日本にやって来ることだろう。
さて、4ドアクーペのCLAは今回のモデルが2代目となり、日本では初代が2013年から(シューティングブレークは2015年から)発売され、約4万台を販売している。CLAのウリは、何といってもそのスタイリッシュなデザインにある。メルセデス・ベンツも「デザインを最優先している」と謳っているように、兄貴分のCLSをも彷彿とさせる前傾したフロントエンド、外側が膨らんだヘッドライト&リアコンビライト、4ドアクーペらしいルーフラインなど、まさにスタイリッシュ。ワイド&ローなプロポーションは、従来型より25mm長く、50mm幅広く、車高は変わらず。トレッドはAクラス ブラザーズの中ではいちばん幅広い。
試乗したモデルは、2Lの直4ガソリンターボを搭載するCLA 250 4MATIC。車名でわかるように駆動方式は可変トルク配分型の4WDを採用している。ちなみに日本仕様のCLAは、今のところはこのCLA 250 4MATICと2Lディーゼルターボを搭載したFFのCLA 200dのみだ。ミッションは7速DCT(220dは8速)で、ハンドル位置は右のみの設定。
今回の試乗地は適度にアップダウンやコーナーのある郊外路のみで、しかも短時間だったので最終的な判断はあらためて下したいが、パワー的には十分以上。パワーユニットは以前に紹介したGLC 300などのものと排気量は同じだが、パワースペックは少しデチューンされている。それでも1610kgの車重に224ps/350Nmだから、不満のあろうはずがない。ダウンサイジングターボで実質的には2.5Lクラスのスペックを発生しているから、発進直後からトルクはタップリ。しかも高回転域まで小気味良く回り、サウンドも良い。
ワインディングをガシガシと攻めるような走りはしていないけれど、ちょっと速いペースでドライビングを楽しむには十分なハンドリングの良さを見せてくれた。4MATICは通常はほぼ100%前輪駆動だが、コーナリング時には積極的に後輪にトルク配分している効果もあるのだろう。それでいながら乗り心地も悪くない。
Aクラス同様、対話型インフォテインメントシステムの「MBUX」をはじめ、ワイドスクリーンのコクピットやスマホのワイヤレス充電機能といった快適装備はもちろん、Sクラスと同等の最新安全運転支援システムも装備。トランクルームの広さも十分だし、唯一の欠点はリアシートの広さか・・・。と、ここで気になったのは、ブラザーズのAクラス セダン。サイズ的にはCLAが135mm長く30mm幅広くて(車高は同じ)スタイリッシュだが、ホイールベースは同じだし、リアシートのヘッドスペースなどはAクラス セダンのほうが広い。しかも同じパワートレーンの250 4MATICなら、Aクラス セダンは50万円近く安い。ただし、日本仕様のAクラス セダンにはディーゼルは設定されていない。
デザインで選ぶか、経済性と後席の居住性で選ぶか。もっとも、CLAにはワゴンのシューティングブレークも設定されているし、もう少し予算に余裕があるならサイズ的にはあまり変わらないCクラス セダンという選択もある。予算と使い方に応じて気に入った1台が選べるような、豊富なモデル ラインアップを展開するメルセデス・ベンツ。とくにこのAクラスを軸としたCセグメントの充実ぶりが、2019年も輸入車販売台数のランキングで首位の座を確実にしているメルセデス・ベンツの強さと言えるだろう。(文:篠原政明/写真:井上雅行)
メルセデス・ベンツ CLA250 4MATIC 主要諸元
●全長×全幅×全高:4695×1830×1430mm
●ホイールベース:2730mm
●重量:1610kg
●エンジン種類:直4 DOHCターボ
●排気量:1991cc
●最高出力:165kW<224ps>/5500rpm
●最大トルク:350Nm<35.7kgm>/1800-4000rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:横置きフルタイム4WD
●WLTCモード燃費:12.8km/L
●タイヤサイズ:225/45R18
●税込価格:534万円