マツダ ルーチェ REリミテッド(4代目/E-HBSN2型):昭和56年(1981年)10月発売
ルーチェは、1981年(昭和56年)10月のフルモデルチェンジで4代目となった。ボディスタイルは4ドアサルーンと4ドアハードトップの2種類で、基本的なメカニズムは同時期に発売されたコスモ・サルーン、コスモ4ドアハードトップと同一で、この2車種は双子車の関係にある。サルーンとハードトップは外観上も大きく差がつけられ、サルーンはあくまでセダンとしての居住性の良い車室とフォーマルな印象の外観の組み合わせ。一方、ハードトップは派手なライト回りのデザインで華やかさを持たせたのが特徴となっている。
ルーチェの特徴の一つは、空力性能にこだわったボディだ。Cd値はハードトップで0.35、サルーンで0.39という当時としては世界でトップクラスのものとなった。ウエッジシェイプ&スラントノーズを基本プロポーションとして、前後の絞りを大きくした形と各コーナー部に丸味をもたせることなど徹底した空気力学の追求により得られた数値だった。
搭載エンジンは、先にレシプロ仕様が発売され、1カ月遅れてディーゼル仕様とロータリー仕様が追加された。ここで主に紹介するルーチェREリミテッドに搭載されたのは、12A型ロータリーエンジンだ。最高出力130ps/最大トルク16.5kgmというロータリーらしいハイスペックとなっているが、低速・市中走行時の燃費向上を求める声があったのも事実だ。今回はその対策として、8ビット1チップ マイコン制御のロータリーエンジンは6ポートインダクションという新しい技術を盛り込むことにより、低速トルクを向上するとともに、ロータリーエンジン初となる10.0km/Lの10モード燃費を実現している。
サスペンションは、フロント:ストラット/リア:セミトレーリングアームの4輪独立タイプとなっている。セミトレ採用はロータリー仕様車と2000EGI仕様車のみで、他モデルは5リンクリジッドだった。フロントはキャスター角を大きくして高速直進性の安定を図り、リアのセミトレは独自のサスペンション配置などのチューニングによってソフトな乗り心地と高い走行安定性を確保していた。ステアリング形式はラック&ピニオンで、エンジン回転数感応式のパワーステアリングが採用され、ロックtoロックは3.4回転となっている。
ボディワークは、高張力鋼板の採用、コンピュータによる構造解析により剛性を保ちつつ先代より50〜90kgの軽量化を果たしている。前後のクラッシャブルゾーンによって衝突時のエネルギーが吸収され乗員が保護される設計も盛り込んだ。
ドライバーズシートはデュアルリクライニングおよびシートリフターなど8ウエイアジャスタブルとなっており、どのような体格の人が乗ってもベストなドライビングポジションが取れる配慮がされていた。安全性の観点では、全車にメモリー付テンションレスELRシートベルトを採用するなどの配慮がされた。ちなみに、世界初のオートリバース付正立カセット一体型オーディオを採用したのも、この世代のルーチェだった。
クルマとしては残念ながら大ヒットとはいかなかったが、当時のマツダの意気込みが伝わってくる一台だ。
マツダ ルーチェ REリミテッド 主要諸元
●全長×全幅×全高:4670×1690×1410mm
●ホイールベース:2615mm
●重量:1175kg
●エンジン型式・種類:12A型・直2ローター
●排気量:573cc×2
●最高出力:130ps/7000rpm
●最大トルク:16.5kgm/4000rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:195/70SR14
●価格:209万円