3ナンバー、2Lエンジンは、ライトウエイトスポーツじゃない?
リトラクタブルヘッドライトを廃した2代目がデビューしたときは、デザインの変化に戸惑うファンが多かった。しかし、初代と変わらぬ「人馬一体」の走りを実現していたことで、その人気を揺るぎないものとした。
そしてエンジンは2Lとなり、リアサスペンションはマルチリンク式となるなど、歴代モデルと異なるポイントが目をひいた。ロードスターそのもの、そしてクルマを取り巻く環境が大きく変わる時代の中で、2005年に3代目が登場した。
コンセプトは「人馬一体」の走りと、「Lots of Fan」の継承と進化。ライトウエイトスポーツを走らせ、楽しさの創造することを最大の目標とした。ロードスターの持ち味である「軽量」も、1090kg(5速MT・ソフトトップ)を達成するなど、見た目だけでは計れないスペックを秘めていた。
しかし、一見して大きくなったボディサイズは、従来モデルのNBと比べ、全長と全幅が40mm拡大された。これは、安全デバイス搭載の義務化によることが起因する。また排出ガス規制も厳しくなったことで、触媒の容量もこれまでより大きなものが必要となった。そのため、少しでも重量をおさえる並々ならぬ努力があった。
「グラム作戦」と銘打った一大プロジェクトにより、軽量化を実現
バブル崩壊以降、フォードとの経営的協力関係が強固になったマツダの社長にフォード出身者が就任した。新社長の元、徹底したムダの排除が行われたことで2シーターオープンの開発がストップしてしまう懸念もあったが、新社長はロードスターの開発に前向きで、マツダにとってロードスターが、いかに重要な存在であるか、しっかり伝わっていた。
とはいえ潤沢な予算があるわけもなく、RX-8のプラットフォームを使いながら、いかに「人馬一体」を実現するかを考えていた。その結果、開発メンバーの意思統一を図るために、コンセプトブックを作成した。そこにはロードスターの開発において、何を成し遂げたいかが書かれていた。その中のひとつが「グラム作戦」だった。
格上のRX-8のプラットフォームにアルミが使われていたので、軽量化を実現しながら予算も削減できる一石二鳥の役割を果たした。しかし、そこからさらに軽量化を進め、ナット1本に至るまで削れるものは徹底的に削り、開発に関わるあらゆる部署が試行錯誤を重ねたことで、開発時の目標であったライトウエイトスポーツを見事に継承した。
そしてマツダの経営不振という逆境を乗り越え、2005年11月に日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。マツダ車の受賞はカペラ以来23年ぶり、ロードスターとしては初の受賞という幸運をもたらした。
マツダ ロードスター(NC型)主要諸元
●全長×全幅×全高:3995×1720×1245mm
●ホイールベース:2330mm
●重量:1090kg
●エンジン型式・種類:MZR・直4 DOHC
●排気量:1998cc
●最高出力:170ps/6700rpm
●最大トルク:19.3kgm/5000rpm
●トランスミッション:5速MT・6速MT・6速AT
●タイヤサイズ:205/50R16・205/45R17
●価格:250万円〜