FCA(フィアット クライスラー オートモビルズ)は、第三世代にフルモデルチェンジしたフィアット 500を発表した。FCAでは初のフルEV(電気自動車)となった新型 500だが、日本仕様に関しては今のところ未発表だ。

FCA初の電気自動車としてワールドプレミア

画像: フロントフェースにはフィアットのロゴではなく「500」と入れられている。

フロントフェースにはフィアットのロゴではなく「500」と入れられている。

日本でも人気の高いコンパクトカー、フィアット 500(チンクエチェント)。1957〜77年に生産されて人気を呼んだモデルをオマージュして2007年に現行型が発表され、日本でも翌2008年から発売されている。

今回ワールドプレミアされた新型500は、一見したところは従来型のビッグマイナーチェンジに思えるが、まったくのニューモデルだ。安定性と存在感を兼ね備えた、魅力的なスタイルとなっている。全長と全幅は6cm拡大(それでも全長は4m未満だ)され、ホイールベースも2cm延長された。

フロントエンドは初代風に垂直に切り落とされ、路面をつかむような安定感を演出している。楕円形のヘッドライトはボンネット部分に「まつ毛」のように備えられている。ドアハンドルは、完全なフラットになった。フロントのセンターには、フィアットのロゴに替わって「500」のロゴが付けられている。従来型同様、セミオープンのカブリオレも設定されている。

画像: FCAでは初のフルEV(電気自動車)となった新型 500。

FCAでは初のフルEV(電気自動車)となった新型 500。

インテリアも一新され、ダッシュボードは幅広くスレンダーになり、従来型ではシフトレバーがあったシートの間にはモジュラー式の収納スペースが設定されている。ショルダールームやレッグスペースは拡大され、フラットボトムの車体はリチウムイオン電池を搭載しても従来型同様のラゲッジスペースを確保している。シート地などには海洋から回収したプラスチック素材をリサイクルした繊維を使い、本革ではなくエコレザーを使用したトリムも設定される。

前述のように、新型500はフルEVとなった。モーターの出力は87kW、最高速度は150km/h(電子リミッター作動)、0→50km/h加速は3.1秒、0→100km/h加速は9.0秒と公表されている。42kWhのリチウムイオン電池を搭載し、WLTPサイクルで最大320kmの航続距離を実現した(欧州仕様車)。85kWの急速充電システムも搭載し、5分間で50kmを走行するために必要な電力を充電できる。急速充電器を使えば、35分でバッテリー容量の80%まで充電できる。欧州仕様車の場合、AC/DCのどちらにも対応したコンボ2ソケットを使用する。

画像: インテリアは従来型よりかなりクオリティがアップしている。

インテリアは従来型よりかなりクオリティがアップしている。

ノーマル/レンジ/シェルパという3つのドライビングモードを備える。「シェルパ」は目的地に確実に到達できるよう電力消費量を最適化し、最高速度を80km/hに抑え、アクセルレスポンスを調整し、空調をオフにして(オンにもできる)エネルギー消費量を抑制する。「ノーマル」は、できるかぎり内燃エンジン搭載車に近づけた設定だ。「レンジ」ではワンペダルドライブが可能で、アクセルペダルから足を離せばブレーキペダルを踏んだときに近い感覚で減速できる。

フロントフェイシング カメラ モニタリングテクノロジーやインテリジェント アダプティブクルーズコントロール(iACC)、レーンセンタリング、インテリジェント スピードアシストなどの機能も搭載し、このセグメントとしては初めてレベル2の自動運転を実現している。

また、新しい接続プラットフォーム「Uコネクト5」インフォテインメントシステムも搭載し、ユーザーのスマートフォンと連携して、ダッシュボードの10.25インチ高解像度タッチスクリーンに情報を表示する。

画像: サイズがアップされ、室内の居住空間も拡大されている。

サイズがアップされ、室内の居住空間も拡大されている。

イタリア本国では、レオナルド・ディカプリオが新型500のプロジェクトを支援し、ローンチバージョンの「ラ プリマ(イタリア語でファーストの意味)」のオンライン事前予約が開始され、またジョルジオ・アルマーニやブルガリが手がけたワンオフ モデルも発表された。

日本仕様のスペックや導入時期、そして価格などは未発表だが、できれば充電方式にはCHAdeMOも採用して欲しいところ。ところで、EVとなった新型500をベースにしたアバルト モデルは登場するのだろうか。単なるシティコミューターではない、ファン to ドライブなEVを期待するクルマ好きは、けっして少なくないはずだから期待したいものだ。

画像: 従来型同様セミオープンのカブリオレも設定されている。

従来型同様セミオープンのカブリオレも設定されている。

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