クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第16回は「マセラティ インディ」だ。

マセラティ インディ(1969-1975年)

画像: ベースとなったギブリをデザインしたのはジウジアーロだったが、このインディはミケロッティが手がけた。

ベースとなったギブリをデザインしたのはジウジアーロだったが、このインディはミケロッティが手がけた。

マセラティの高級大型グランツーリスモ、ギブリが登場してから3年。1969年のジュネーブ モーターショーで新たな4シーター クーペがワールドプレミアされた。その名は「インディ」。マセラティ伝統の「風」が車名の由来ではなく、1939・40年とマセラティがインディ500マイル レースを連覇したことに由来している。

インディは、ギブリの上質な走りとインテリアの設えには満足しているが、やはり2名しか乗れないのが唯一のウイークポイント・・・というカスタマーの声に応えるかたちで登場した。ワールドプレミア前の1968年にトリノ モーターショーで、まだインディという車名は与えられていなかったのだが、カロッツェリア ヴィニャーレのブースでプロトタイプ コンセプトカーとして発表されていた。つまり、デザインは当時ヴィニャーレに在籍していたジョバンニ・ミケロッティが担当していた。

画像: スーパーカーというよりはGTカー的なインテリアも、ギブリと基本的に変わりはない。

スーパーカーというよりはGTカー的なインテリアも、ギブリと基本的に変わりはない。

ギブリをベースにホイールベースを50mm延長し、全長も150mm長い全長がもたらしたスタイルは実に伸びやか。いわゆるスーパーカーの持つ凄みこそは感じさせないが、高級車メーカーのマセラティらしい落ち着いたたたずまいで、おとなが引け目を感じることなく乗ることができる、4シーターの高級グランツーリスモとして好評を得た。それでも、リトラクタブル式ヘッドランプを採用するなど、スーパーカーらしいアイデンティティは保たれていた。

ギブリ同様ロングノーズのボンネット下に搭載されたパワーユニットは、デビュー当初は4136ccのV8 DOHCだったが、1970年にはギブリと同じ4719ccのエンジンを搭載したモデルも追加された。1973年には排出ガス規制に対応するため、ギブリ SS用の4930ccに換装された。このとき、北米仕様は車名を「インディ アメリカ」に変更している。

インテリアのデザインは基本的にギブリと共通で、高級グランツーリスモにふさわしいフルレザーに覆われた上質なものだった。ミッションも5速MTが標準だが、3速ATも設定されていた。インディは、1975年に生産を終了するまでに約1100台が生産された。

画像: リアビューの雰囲気はギブリと似ている。ラゲッジスペースも十分に広かった。

リアビューの雰囲気はギブリと似ている。ラゲッジスペースも十分に広かった。

マセラティ インディ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4740×1760×1220mm
●ホイールベース:2600mm
●重量:1585kg
●エンジン種類:90度V8 DOHC
●排気量:4136cc
●最高出力:290ps/5500rpm
●最大トルク:40.0kgm/3800rpm
●燃料タンク容量:100L
●駆動方式:FR
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:205VR14

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