シルビア〜華麗なボディに隠されたは俊足ぶり
スタイリッシュな2シータークーペゆえにあまりス ポーツカー的イメージはないが、実際の動力性能は 確かなものがあった。ツインSUキャブ(日立製)の 1.6Lは基本的にフェアレディ 1600と同じで、トルク特性が素直で伸びも良かった。車内はとにかく快適性が高かった。シートの仕立てもきちっとしていたし、操作系のレイアウトが整理されていて室内はいつも清々しい雰囲気。ハンドリングとサスペンションフィールは少々ダルではあったが...。
ホンダS800〜排気量アップで大人っぽい手応えに
ボンネット上にふくらみがつけられ、テールライ トが横長型に替えられたS800は、軽合金エンジン の排気量を200ccほど増しただけで、一挙に「大人 っぽい手応え」のクルマになった。とにかくトルク感が大幅に向上した。許容回転は下がったが、それでも9000rpmぐらいはラクに回ってしまうので、ついぞS800でノンビリ走った記憶はない。最終モデルではオーソドックスなリジッド・アクスルに変わり、ハンドリングも落ち着いた。
トヨタ2000GT〜操作系の重さも英国車的
トヨタのスポーツカーではあるが、このクルマの開発にはヤマハの協力があった。直6のDOHCエンジンは宝石のように見えた。レイアウト、スタイリン グ、インテリアは純ブリティッシュセンス。操作系の重さまで英国車的だった。コーナーで加速すると ロータスそっくりの姿勢(テールを沈めて内側前輪を引き上げる)を見せた。とりまとめ方が抜群に良く、今も尊敬できる数少ないクルマのひとつだ。
スカイライン2000GT-R〜ストレート6のサウンドが最高だった
いわずと知れた最強のマシンだけあって、さすがにクラッチの重さは相当なもので、ノーマルのGT から乗り換えると、ものの数分で左足に疲れを覚えた。 現代のモデルに比べると、排気音にもそれほど規制がなく、素晴らしいストレート6のサウンドを聴かせてくれた。タイヤの性能がプアだったため限界性能は低かったが、非常にコントローラブルで、まさに走り屋のための1台だった。
カローラレビン1600〜軽量ボディに高性能エンジンで刺激的な走り
昭和47年春に登場したいわゆる27型と呼ばれたレビン/トレノは、今もってもっともバランスのとれた優れたデザインと性能を持ったモデルだったのではないだろうか。レビンはカローラに初めて登場した高性能モデルで、セリカ1600GTと同じ2T-Gユニットを搭載した強力なものだった。その高性能は当時としては驚異的で、軽量コンパクトなボディも手伝って、極めて鋭い加速を示した。ただし、乗り心地とノイズレベルは、けっして褒められたものではなかった。
ソアラ2800GT〜パワーを活かしたドリフト走行も可能
国産初の本格的グランツーリスモとなったソアラの評価を高めたのは、なんといっても2.8L直6DOHCの搭載だった。全域にわたりたっぷりとしたトルクを出し、当時としてはあふれるほどと思わせたパワーによって、端正なスタイリングのボディをほぼ200km/hの領域まで引っ張った。BMW6シリーズを参考にしたと言われるシャシだが、ソアラはそれよりも穏やかな特性を持っていた。限界は高くはなかったが、パワーを活かしたドリフト走行も可能だった。
スカイラインHT2000RS〜ターボ車はとくにジャジャ馬
DR30は歴代スカイラインの中で、パワーアップに次ぐパワーアップを行い、動力性能ナンバーワンの地位を死守してきた。この役割を果たしたのがRSシリーズで、とくにターボRSは凄かった。これほどまでに荒い振動感をもつエンジンは他になく、しかもレスポンスもターボ特性丸出し。スロットルを踏んでからパワーが盛り上がるまで待たされるが、 4000rpmあたりからは強烈のひと言。サスペンションは姿勢変化が激しく、この点でも荒くれだった。
フェアレディZ300ZX〜絶対的な速さは驚異的
Z31はGT志向が強められて登場してきた。3LのV6SOHCターボエンジンは他車を圧倒する230psを発生したがターボラグも大きく、アクセルを踏んでしばらくしてから強烈なパワーが立ち上がった。しかし絶対的な速さは当時としては驚異的。5速MTを駆使すれば、0→400mを14秒台で走りきり、あっという間に速度リミッターが作動した。反面、サスペンションは乗り心地重視だったので、姿勢変化が激しかった。
MR2〜ミッドシップの運動性能を手軽に味わえた
初代MR2はミッドシップの良さがハッキリとわかるものだった。とくにトラクション性能の高さは、発進加速を始め、コーナリング時の姿勢制御にまで圧倒的な威力を発揮。前後慣性マスの小ささを体感させるスムーズなヨーの立ち上がりと収束など、運動性能のポテンシャルも抜群だ。AE86レビン/トレノに比べると車重が重くなってしまい、パワー的には不足気味だったが、それを補ってあまりある操縦性は魅力的だった。スポーツ性では文句なくトップだったと言えるだろう。
ミラターボTRーXX〜軽自動車であることを感じさせない運動性能
ミラターボTR-XXをワインディングで走らせるとき の楽しさは格別なもので、52psで570kgという軽量ボディをぐいぐいと引っ張り、軽自動車を感じさせない。コーナリングでは、最小限の減速で高めのスピードを維持して進入していけば、スポーツカー感覚で走れる。ペダルレイアウトも悪くないのでヒール&トゥも自然にできた。またジムカーナ走行をするにあたってはリアがドラムブレーキということもあり、サイドターンがビシっと決まる。今でもこういうクルマがあれば...と思わせる一台だ。
このほか、さまざまなトピックをぎっしり詰め込んだ「昭和の名車 大全集(上巻・下巻)」。ぜひご覧下さい。