クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第52回は「フェラーリ 550マラネロ」だ。

フェラーリ 550マラネロ(1996-2001年)

画像: 市販車の世界速度記録を樹立し、テストコースではF512Mより速いラップタイムで走ることができた。

市販車の世界速度記録を樹立し、テストコースではF512Mより速いラップタイムで走ることができた。

1996年、フェラーリはF512Mに替わるフラッグシップ モデルとして「550マラネロ」を発表した。550とはフェラーリ伝統の1気筒あたりの排気量から付けられた車名ではなく、総排気量が約5.5L(正確には5473cc)であることを意味し、マラネロとはフェラーリの本拠地がある町の名前に由来する。この後のフェラーリには、ゆかりのある地名を車名に用いるものが増えていく。

550マラネロの最大のエポックは、フラッグシップ モデルながらエンジン搭載位置をミッドシップからコンベンショナルなフロントへと回帰したこと。これは、デイトナと呼ばれた365GTB/4以来およそ四半世紀ぶりのこととなる。ただし456GT同様にミッションはデフと一体でリアにマウントされたトランスアクスル方式となる。

550マラネロは、前述の1992年に発表された2+2GTの456GTのホイールベースを100mm短縮して、2シーターとしたモデルだ。発表の場にはニュルブルクリンクというサーキットが選ばれ、当時のフェラーリF1のパイロットであったミヒャエル・シューマッハがステアリングを握ってハイパフォーマンスぶりを披露するという、衝撃的なデビューを飾った。

画像: コクピットの雰囲気も456GTと似ているが、円形をモチーフとしてアグレッシブなイメージにしている。

コクピットの雰囲気も456GTと似ているが、円形をモチーフとしてアグレッシブなイメージにしている。

ロングノーズのフロントに収まるパワーユニットは、456GTに搭載されたものの進化版で、5473ccの65度V型12気筒 DOHC。排気量はそのままだが圧縮比を10.8にアップし、燃料供給装置をボッシュ モトロニックのM2.7からM5.2に換装し、最高出力は456GTの442psから43psも引き上げた485psに、最大トルクも56.0kgmから58.0kgmにとチューンされている。

「従来のミッドシップ モデルを上回る、パフォーマンスを発揮する」と豪語したフェラーリは、1998年12月には100kmの平均巡航速度が304.1km/hという、市販車の世界速度記録を樹立してみせた。公称の最高速度は320km/hと公称され、テストコースでのラップタイムはF512Mより速かったという。

シャシはフェラーリ伝統の鋼管スペースフレームだが、足回りにはASR(トラクションコントロール システム)と連動した電子制御可変ショックアブソーバーを採用するなどして、超高速域での安定性を確保するなど、フラッグシップにふさわしい先進技術を搭載したことでも注目された。

550マラネロは2002年に「575Mマラネロ」へと進化。車名のとおりエンジンは5.75Lに排気量アップ(515ps/60.0kgm)され、セミATのF1マチックも設定された。

画像: ピニンファリーナのデザインは275GTBを想起させるフロントフェンダー後ろのツインエアスロットなど、1960年代のモデルをリスペクトしたもの。

ピニンファリーナのデザインは275GTBを想起させるフロントフェンダー後ろのツインエアスロットなど、1960年代のモデルをリスペクトしたもの。

フェラーリ 550マラネロ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4500×1935×1275mm
●ホイールベース:2500mm
●重量:1740kg
●エンジン種類:65度V12 DOHC
●排気量:5473cc
●最高出力:485ps/7000rpm
●最大トルク:58.0kgm/5000rpm
●駆動方式:FR
●トランスミッション:6速MT
●タイヤサイズ:前225/40ZR18、後295/35ZR18
●当時の価格:2270万円

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