2002年から開催された「パーティレース」
1989年、ピュアライトウエイトスポーツカーとして誕生したロードスターは、その素直なキャラクターから「ドライビングテクニックを磨くのに最適な練習車」として評価が高かった。実際、各地のサーキットやジムカーナ場などで開催される走行会には、4世代のロードスターがズラリと顔を揃え、ドラテク磨きに精を出しているユーザーが大勢いる。
そして自分のドライビングテクニックが向上すれば、サーキットで腕試ししたくなるのが世の常である。そんなユーザーニーズに応えるかのように、国産車初のナンバー付きJAF公認Nゼロレース、ロードスターパーティレースが2002年から開催されるようになった、その競技車両として誕生したのが「NR-A」だ。
2002年から筑波サーキットで開催されたロードスターパーティレースの競技車両を統一した理由は、イコールコンディション化を図り、高いと言われるモータースポーツの敷居を低くし、参戦費用を少しでも抑えるためだ。よって純粋にドライバーの腕だけで戦えるようにと、パワートレーンは1.6Lエンジン+5速MTとした。
サーキットデビューしない人にも大人気
NR-Aの専用装備だが、まずフロント&リアパフォーマンスバーをはじめ、トラスメンバー、フロント大径スタビライザーなどでボディ強化を図っている。さらに、カタログモデルのRS系にしか装着されていなかった、ビルシュタイン製ダンパー、トルセンLSD、フロントサスタワーバー、大径ブレーキディスク、15インチアルミホイール等々が搭載された。さらにエンジン&デフマウントの強化、ラジエータ容量アップと、サーキット走行に適したパーツが惜しみなく投入されている。
またインテリアも専用メーター、ナルディ製ステアリングホイール、レッドのクロス製バケットシートなどを装備することで、見た目も中身もレーシーな雰囲気にまとめられていた。
これだけ多くの特別パーツを装備しているにもかかわらず、204万8000円というスペシャルプライスだったため、「レースには参加しなしがスポーツ走行は楽しみたい」「より完成度の高いスポーツ性能を味わいたい」というユーザーからも支持された。
サーキットでの走りと日常での乗り心地を両立
実際に試乗してみるとノーマルのロードスターと比べると、一体感が違う。とくに大きな差がつくのがコーナリングで、NRAは適度にロールが抑えられているためにライントレース性が向上し、シャキッとしつつもニュートラルなフィーリングで、気持ちよく攻め込むことができる。またコーナーの立ち上がりでも、駆動力を積極的に前へと押し進めるようなドライビングフィールが楽しめるので、クルマを操っている手ごたえがある。つまりパワー以上に、ピュアスポーツであることを堪能させてくれたのだ。
さらに乗り心地は、日常使いでも納得できる範囲に抑えられているのは、やはりナンバー付きモデルだ。よくできたスポーツカーは「しなやかさが重要だ」ということが、きちんと具現化されていたのである。
実際にレースに参戦するユーザー向けに、6点式ロールゲージ(乗降部着脱タイプ)、4点式シートベルト/シートベルトアンカー、前後大型牽引フックがセットになった、ディーラーオプションの「マツダスピードNR-Aパック」が用意されていた。しかし、これを装着しても普段の足として使えるナンバー付き車両であることに変わりはないので、このオプションを装着するユーザーも多かった。
NR-A 車両価格(当時・税別)
204.8万円
ベース車両
ロードスター標準車・改 1600・5速MT
NR-A専用装備
ラジエータ容量アップ
トルセンLSD採用
エンジン&デフのマウント強化ビルシュタイン製ダンパー
フロントサスタワーバー
トラスメンバー
F/Rパフォーマンスロッド
F大径スタビライザー
大径ブレーキ
15インチタイヤ
新デザインアルミホイール
専用メーター (6時位置0置針)
ナルディ製ステアリング(赤/黒)
赤色シート
マツダスピードNR-Aパック(装着によりレース参加が可能)
6点式ロールケージ
4点式シートベルト
シートベルトアンカー
前後大型牽引フック(JAF公認)
その他のオプション
マツダスピードスポーツシート
ブレーキパッド(B-スペック)
クラッチディスク&カバー
マツダロードスター(NB6C)主要諸元
●全長×全幅×全高:3955×1680×1235mm
●ホイールベース:2265mm
●重量:1010kg
●エンジン型式・種類:B6-ZE・直4 DOHC
●排気量:1597cc
●最高出力:125ps/6500rpm
●最大トルク:14.6kgm/5500rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:185/60R14