マツダスピード ロードスター & ファミリア(2001年)
RX-7やロードスターなど、マツダ スポーツカーの生みの親的な存在である立花啓毅氏が手がけた2台の限定モデルが、今回紹介するロードスターとファミリアだ。発表前にクローズドコースで試乗する機会を得たが、マツダスピードの名を冠しただけあって、走る楽しさに溢れていた。
まずはマツダスピード ロードスター。もっともスポーティなグレードの1.8RSをベースに、車高調整式サスペンション、専用エキゾーストマニホールド & マフラー、そしてタワーバーを装着している。さらにエンジン動力をよりダイレクトに駆動系に伝えるために、エンジンとデフのマウントを強化している。もちろん内外装も専用パーツでドレスアップされるなど、マツダスピードが走りにこだわって作り上げたロードスターといえる。
正式発表前なので2速を中心としたジムカーナコースでの試乗のみだったが、ポテンシャルの一端を垣間見ることはできた。試乗日は朝からの雨で、路面は完全なウエットコンディション。だが逆に、低速度域でもドリフト状態が楽しめ、しかも極めてコントーラブルだった。ダンパーは4段階可変式で、前3/後2にセットされていた。ノーマルのRSより固めだが乗り心地は悪くない。もちろん、ロードスターの持ち味であるハンドリングの良さは健在だ。
排気系の改良で出力特性が変えられた1.8Lの直4 DOHCは7500rpmのレッドゾーンまでストレスなく吹け上がり、少し力強くされたエキゾーストサウンドも不快感のないレベルにおさまっている。内外装のまとめもセンス良く仕上げられていた。
続いて、マツダスピード ファミリア。5ドア ワゴンのスポルト20に搭載されている2Lの直4 DOHCを175psにチューンして4ドア セダンに移植。しかもミッションはショートストローク化された5速MTを採用している。パワーアップにともなって足まわりも強化され、ホイールは17インチ、ブレーキディスクは15インチに拡大。ロードスター同様に内外観もドレスアップされている。
少し重めのクラッチを踏み込み、FFとしてはタッチのいいシフトを駆使してロードスターと同じジムカーナコースを走る。さすがに1190kgのボディに175psのパワーは十分なものがあり、低速域からトルクフルだ。スタビを固めているのでロールは抑えられているが、タイトターンが多くスリッパリーな路面のジムカーナコースではアンダーステアが強い。箱根のような2〜3速中心のワインディングなら、もっと走りを楽しめただろう。
マツダスピードがこだわりを持って作っただけあって、この2台はなかなか「買い」だ。自分でパーツを組んだらこの価格ではすまないし、外したパーツの置き場所にも苦労する。それに何といってもメーカーの保証が付いたチューンドカーなのだ。ロードスターの200台、ファミリアの100台という限定台数は、すぐに売れてしまうだろう。(※走りの写真は試乗とは別の日に撮影したものです)
■マツダスピード ロードスター 主要諸元
●全長×全幅×全高:3955×1680×1220mm
●ホイールベース:2265mm
●車重:1090kg
●エンジン形式:直4・4バルブDOHC・FR
●排気量:1839cc
●最高出力:118kW(160ps)/7000rpm
●最大トルク:170Nm(17.3kgm)/5500rpm
●ミッション:6速MT
●タイヤ:205/45R16
●当時の価格:254万8000円
■マツダスピード ファミリア 主要諸元
●全長×全幅×全高:4445×1695×1410mm
●ホイールベース:2610mm
●車重:1190kg
●エンジン形式:直4・4バルブDOHC・横置きFF
●排気量:1991cc
●最高出力:129kW(175ps)/6800rpm
●最大トルク:185Nm(18.9kgm)/5000rpm
●ミッション:5速MT
●タイヤ:205/45R17
●当時の価格:199万8000円