今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「ロータス エキシージ」だ。

ロータス エキシージ(2001年)

画像: フロントまわりはマイチェン前のエリーゼとほぼ同じ。マイチェン後はアクが強すぎるから、こちらが好きな人も少なくないはず。

フロントまわりはマイチェン前のエリーゼとほぼ同じ。マイチェン後はアクが強すぎるから、こちらが好きな人も少なくないはず。

ロータスのライトウエイト オープン2シータースポーツ、「エリーゼ」をベースにしたスペシャルモデルがエキシージ。と思われるかもしれないが、正確に言えばエリーゼをクローズドボディ&シングルシーター化したレーシングカー、「スポーツエリーゼ」のロードモデルがエキシージ、ということになる。スポーツエリーゼはレーシングカーなので市販しないと言われていたのだが、市販化を望む声が多く、ロータスもそれに応えたというわけだ。

フロントまわりはマイナーチェンジする前のエリーゼとほぼ同じだが、クローズドトップの上に備わったエアインテーク、リベットで追加されたフロントスポイラー、高くそびえるリアウイングなど、そのスタイリングは、いかにもレーシングカーっぽくていい。エリーゼよりもワイドなタイヤを装着するため車幅は広げられ、全長も少し長くなっている。

エリーゼ同様にサイドシルは高く、しかもクローズドボディになったから乗り込むのはちょっとキツイ。フルバケットシートに座り、4点式シートベルトを締め、エンジンをかけてスタートする。エリーゼにはノーマルから111S、340Rなど、さまざまなバリエーションに乗ったが、このエキシージのエンジンがベストだ。

エリーゼにも搭載されているローバー製の1.8L 直4DOHCエンジンの最高出力は178ps、最大トルクは17.4kgmだから、日本車でもターボを装着したりしてもっとハイパワーなエンジンはいくらでもある。だが、エキシージの車両重量はわずか725kg。パワー ウエイト レシオは4.0kg/psという数値だから、速くないわけがない。

画像: ローバー製の1.8L 直4DOHCを横置きミッドシップ搭載。ノーマルのエリーゼのものよりパワーアップされている。

ローバー製の1.8L 直4DOHCを横置きミッドシップ搭載。ノーマルのエリーゼのものよりパワーアップされている。

小気味良いサウンドで、低回転域からトルクがあり、しかも高回転域まで回しても楽しい。静かとはいえないコクピット内にはエキゾーストサウンドが響き、ハイグリップタイヤが路面の細かい石を巻き上げてフェンダー内に当たる音まで聞こえると、気分はまさに「バーチャル グループCカー」だ。もちろん、グループCカーに乗ったことはないけれど。

ハンドリングは、さすがに「コーナリング命」のロータスの名に恥じないもので、ワインディングを走り回るのが楽しい。ただし、コンパクトなボディにショートホイールベースだから、高速での直進安定性は今ひとつといったところだ。ブレーキの利きは悪くないのだが今では珍しくなったノンサーボなので、ペダルをしっかり踏まないと現代のクルマのようなストッピングパワーは得られない。

また、リアウインドーはガラスではなくポリカーボネイト製で、しかも巨大なウイングがそびえているので後方視界はあまり良くない。「その気」になって走るときは、ミラーで後ろを良く確認しないと、免許証が何枚あっても足りなくなってしまうかもしれない。

エリーゼのライトウエイト感覚も楽しいけれど、よりハードボイルドに、サーキット走行やスポーツドライビングを極めたいのなら、エキシージを選ぶのも悪くない。

画像: ハイマウントのリアウイングやワイドなフェンダーも装着。この写真からも分かるように、後方視界はあまり良くない。

ハイマウントのリアウイングやワイドなフェンダーも装着。この写真からも分かるように、後方視界はあまり良くない。

■ロータス エキシージ 主要諸元

●全長×全幅×全高:3761×1720×1201mm
●ホイールベース:2300mm
●車両重量:725kg
●エンジン形式:直4・4バルブDOHC・横置きMR
●排気量:1796cc
●最高出力:132.5kW(178ps)/7800rpm
●最大トルク:172Nm(17.4kgm)/6750rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤ:前195/50R16、後225/45R17
●車両価格(当時):680万円

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