「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「三菱 ギャランフォルティス スポーツバック」だ。

高速直進安定性は抜群だがタイヤの選択は?

画像: ラリーアートは、トルクフルなエンジンで力強い加速感を得た。45偏平18インチタイヤのため、乗り心地は少し硬めだ。

ラリーアートは、トルクフルなエンジンで力強い加速感を得た。45偏平18インチタイヤのため、乗り心地は少し硬めだ。

最初に乗ったスポーツはラリーアートと同じ18インチタイヤを履く。ルックスの良さはこの足元の締まりにもあるだろう。エンジンは吸排気とも連続可変バルタイのMIVECで、最高出力は154ps。CVTとの組み合わせによって加速時に少々騒々しさが気になるが、ピークトルクより低めの回転を一瞬キープしてそのままスロットルに合わせて加速する感覚は、エンジンの特性を素直に引き出すセッティングで扱いやすい。

乗り味は高速域での直進安定性が高く、長時間の高速ドライビングには適している。ステアリングを小さく切っていってもセンターにスッと戻ってくれる落ち着き感は、セダンよりずっと手応えがあっていい。ただ、足元が重いせいか大きな入力があると振動が残るのはいただけない。ルックスを犠牲にしても、タイヤは1サイズ落とした17インチぐらいでもよかったのではないだろうか。

ターボエンジンを積むラリーアートは、ツインクラッチミッションとの組み合わせでパワーがダイレクトに引き出せる。SPORTモードなら減速時に1速までしっかり回転合わせしながらシフトダウンしてくれるので、コーナー手前で選択したギアを即座にキープできる。同様のシステムを持つフォルクスワーゲン系にもけっして劣らぬフィーリングだ。

トルクフルなエンジンは低回転でも力強い加速を生みだし、ダイレクト感ある走りが味わえる。しかし、走り全体で言えばもう一歩。フロントにバタつき感があるためにACD(アクティブ センターデフ)の持ち味が発揮し切れていないし、ハッチバックらしいキビキビ感はあまり感じられなかった。安定性の高さは魅力だが、基本性能の高さを考えるともっと実力は高いはず。

その証拠にACDを安定方向に選択してコーナーを攻めてみるとステアリングの落ち着き感は増し、狙ったところへグイグイと引っ張って行ってくれた。高Gに負けない強いボディを持っていることが理解できた。

■ギャランフォルティス スポーツバック スポーツ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4585×1760×1515mm
●ホイールベース:2635mm
●車両重量:1410kg(1580)
●エンジン種類:直4 DOHC(直4 DOHCターボ)
●排気量:1998cc
●最高出力:113kW<154ps>/6000rpm(177<240>/6000)
●最大トルク:198Nm<20.2kgm>/4250rpm(343<35.0>/3000)
●トランスミッション:CVT<6速マニュアルモード付き>(6速DCT)
●駆動方式:横置きFF(横置き4WD)
●10・15モード燃費:11.2km/L(11.0)
●タイヤ:215/45R18
●当時の車両価格<税込み>:216万3000円(301万3500円)
(カッコ内はラリーアート)

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