1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。第2回は初代ゴルフをデザインしたジョルジェット・ジウジアーロについて語ろう。
最後にもうひとつ、ゴルフ1のトレードマーク的デザインが、フロントマスク。これは実はロッツに替わった新会長ルドルフ・ライディングが変えさせた部分といわれており、当初ジウジアーロは角形ライトを提案していた。角形ライトのほうが1970年代にはふさわしく、本来スマートなはずなのだが、逆にいえば意外性がなく、今の目で見るとジウジアーロの最初のデザインはややオーソドックスに見える。丸型ランプは当時のフォルクスワーゲン車のアイデンティティに合わせた結果ともいえそうだが、丸型シールドビームの採用は、安易にやれば、ただコストダウンしたようになってしまう。
結果的に、バターの塊をナイフで削ぎ落としたような、極端に平面的なフロントエンドを形成し、その周囲を四角くモールで囲んで、ウィンカー類はバンパー内に移動させ、そこに丸型ライトだけが配置された。こうして、図案化されたようなアイコニックなフロントマスクが完成した。このフロントマスクは、後に6代目ゴルフのデザインで、スポットライトがあたることになる。(文:武田 隆)