1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。第2回は初代ゴルフをデザインしたジョルジェット・ジウジアーロについて語ろう。

初代ゴルフは角形ヘッドランプになるはずだった?

画像: 生産型ゴルフと並んだ、試作ボディ。これはだいぶ開発が進んだ段階のものと思われるが、ジウジアーロの提案で角形ライトを採用していた。

生産型ゴルフと並んだ、試作ボディ。これはだいぶ開発が進んだ段階のものと思われるが、ジウジアーロの提案で角形ライトを採用していた。

彼の力量が発揮されたのは、2BOX ボディをいかにもスマートに見せたところにある。乗員スペースに余裕を持たせるために車高も高めにしたので、ふつうならずんぐりなりがちなところである。当時のクルマは四角いボディが全盛だったが、その中にあってもなお際立って四角さが目立つデザインで、いかにもシャープでモダンに見せていた。

あまりに四角いので違和感が感じられそうなものだが、そう見せないのは要所で曲面を巧みに使っているからとも指摘されており、要するに自動車の立体的造形として、非常にバランスがとれたものになっている。

そのうえ、細部のデザイン処理もかなり手が込んでおり、窓ガラスの周囲は角にRが付けられており、窓周囲のボディパネルも一段落とし込まれている。車体を直線的に一周するベルトラインも、ボディパネルに溝を掘ったうえに黒のモールを埋め込んで面一にして、上級モデルではさらにメッキの細いモールをその上に貼るという芸の細かいところを見せている。

こういった細部に凝った処理で、ゴルフはプレミアム的な上質感も漂わせていた。当時一世を風靡していた「バウハウス的」などとよく言われたモダンデザインの工業製品と、同じような雰囲気をもっていたのである。

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