2007年秋のフランクフルトショーで衝撃的なデビューを飾ったアウディRS6アバント。正式に日本導入決定がアナウンスされる中、2008年初頭、ポルトガルのポールリカールサーキットを舞台に国際試乗会が行われている。Motor Magazine誌ももちろんこの試乗会に参加、そのレポートをお届けしている。今回はその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年4月号より)
史上最強のアウディが示す新しい時代の始まり
一刻も早く試乗したい。その想いは比較的早く実現する運びとなった。1月下旬、処は南仏ポールリカールサーキット。プライベートジェット機の空港を脇に備え、その隣には今風のナチュラルハイクラスなリゾートホテルが並ぶ、まさに自動車貴族たちの城のような場所。サーキットは今や当世随一のテスト&シミュレーションコースであり、RS6のようにおよそ浮世離れしたパフォーマンスを誇る高性能マシンを試すにはもってこいの環境だ。
まずはその性能の一端をコース上で味わう。ピットレーンには赤と青も鮮やかなRS6がズラリと整列。V10ツインターボの唸りが、地鳴りのように地面付近の空気を震わせていた。フレアフェンダー上面に浮かび上がるコントラストが逞しい。
サーキット試乗車は、相当にレーシーな雰囲気を発散している。20インチタイヤにセラミックカーボンブレーキ、パドル付きフラットボトムステアリングホイール、レカロバケットシート、カーボンパネル内装、などなど。見ているだけでドライバーをその気にさせてしまう。
ステアリングホイールに両手を被せると脇がぎゅっとしまり、気分がいっそう高まってゆく。
合図とともにV10ツインターボエンジンを思いっきり解放する。期待したのはもちろん、580psという途方もないパワーが与えたもうはずの、恐怖感に満ちた加速だった。