2007年のフランクフルトモーターショーで初代ジャガーXFがデビューした。伝統とモダンを融合させながら、ジャガーが生まれ変わろうとしていることを感じさせるモデルだった。ポジション的にはSタイプの後継といえるXFはどんな個性を持っていたのか。ここでは2008年春、南フランスで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年5月号より)

最新のジャガーテイストを引き継いだ走り

走り出して100mもしないうちに「なんとしなやかなのだろう」と、頭の中で感嘆の声を上げていた。これは現行型XJから始まり、XKへと続く、最新のジャガーテイストを見事に引き継いだ素晴らしいものであると感激した。

初めに試乗したのは4.2Lスーパーチャージャーエンジンを搭載するSV8で、タイヤはピレリPゼロの255/35ZR20というサイズ。20インチホイールの採用は見た目を優先した結果かとも思ったが、そうではなかった。これが実によくマッチしており、しなやかでコシのある足まわりを実現していた。小さな凹凸はやさしく包み込むようにクリアし、あまりいいとは言えない路面でも不快な振動を感じさせない。かと言ってそれはふんわりとしているということではなく、1本しっかりと芯が通っているようなところがあり、コーナーも気持ちよくスルリと抜けることができる。

SV8には電子制御アダプティブダンパーを持つCATS(コンピューター アクティブ テクノロジー サスペンション)が標準装備されているが、このデバイスの効果が大きいのだろう。また、SV8にのみ、ダイナミックモードというものが用意されているが、これをオンにすると、シフトアップ&ダウンのタイミングとスピード、またDSCの介入時期が、よりスポーティな方向に振られ、さらにドライビングを楽しむことができる。

エンジンはXKに搭載されているものをXF用にチューニングしたものだそうだが、パワースペックは同一だ。明らかに違うのはサウンドで、XKではスーパーチャージャーの作動音がよく聞こえ、スポーツ心を煽り立てられるような印象だが、これはジェントル。作動音はほとんど聞こえず、全体的に抑えめで適度なサウンドを余裕を持って楽しめる。

次に298psの自然吸気エンジンを搭載するモデルに試乗したが、これにはCATSが装備されず、19インチホイールを履くが、乗り心地のしなやかさという点では、やはりSV8には一歩譲る。しかし、運動性能の絶対的なレベルは高く、このモデルでも何ら不満はない。

ボディサイズは全長×全幅×全高が4961×1877×1460mmと、ライバルと目されるメルセデスEクラスやBMW5シリーズより、ひとまわりと言わないまでも若干大きい(全長で10cm前後)。しかし、その走りは大きさを感じさせず、実に軽快でスポーティだ。もっとも昨今、技術の進歩でこのクラスのニューモデルは大きさを感じさせないスポーツフィールを持つものが増えている。そうした世界の流れに沿っているわけだが、それにしても走りについてのXFの出来映えは素晴らしい、というのが印象だ。

画像: XF 4.2S V8。中高速コーナーが続くワインディングロードのドライビングは楽しいの一語に尽きる。いわゆる「ジャガーの猫足」は健在であると感服した。

XF 4.2S V8。中高速コーナーが続くワインディングロードのドライビングは楽しいの一語に尽きる。いわゆる「ジャガーの猫足」は健在であると感服した。

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