TTSにはアウディ・マグネティックライド・アダプティブダンピングシステムが標準装備される。TTS用に10mm車高が下げられ、専用のチューニングが施されている。これがなかなか良かった。良い乗り心地が確保されているのにハンドリング性能も高いレベルになっているのだ。路面の悪いところでも乗員には直接的な衝撃がこないし、ボディの揺れが小さく収まるのでフラットライドを実現している。ノーマルの状態でも速度やGなどの走行条件に合わせてダンピングレートが素早く変化するから、乗り心地とハンドリングを両立できるのだろう。

シフトレバーの手前にスイッチがいくつか並んでいるが、その一番左側にあるのがマグネティックライドのスイッチで、押すことによってスポーツに切り替わる。ワインディングロードを走るときは、このスイッチを押すことでダンパーの減衰力が常時硬めになり、コーナリング時のロール角が小さくなる。S字カーブでの切り返しなど軽快になるのが実感できた。またサスペンションが硬くなった割には乗り心地が極端に悪くならないのも良かった。

試乗したTTSはオプションで用意される6速ツインクラッチのSトロニックだった。Sトロニックは電子油圧制御されているが、油圧のプレッシャーリザーバーが見直された結果、作動速度がさらに速くなったという。パドルシフトによるアップ、ダウンも素早く反応しストレスがない。TTSのSトロニックがいかに高性能なのかは燃費や加速データに表れている。

燃費はTTSクーペの6速MTの場合8.0L/100kmなのに対し、Sトロニックでは7.9Lになる。ちなみに0→100km/h加速はTTSクーペの6速MTが5.4秒に対し、Sトロニックは0.2秒短縮し5.2秒に向上。こうなると、ドライバーが手足を動かすという楽しみということしかMTを選ぶ理由がなくなってしまいそうだ。

TTSにはクーペとロードスターが用意されている。ロードスターは少しボディが重い程度で、乗った感触ではほとんど同じパフォーマンスを味わえた。クーペのボディ剛性は高いが、ロードスターのボディ剛性も相当高い。一般道を走行しているときに時折不整路面が現われたが、そこを通過したときにフロアが振動することはなかったし、Aピラーがブルブルすることもない。床下を覗くとリアデファレンシャルギアケースの辺りから前方のサイドシルに向かっV字型に補強板が入っているなど、オープンボディ用の補強が効率よくできているようだ。

TTSは快適性とハンドリングの両立と、さらに速さの面白さを味わえるクルマに仕上がっている。ポルシェほどスパルタンでないのも特徴で広いユーザーに支持されそうだ。

画像: アウディTTSは快適性と速さを両立させたアウディらしいスポーツモデル。幅広いユーザーに支持されそうだ。

アウディTTSは快適性と速さを両立させたアウディらしいスポーツモデル。幅広いユーザーに支持されそうだ。

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