1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。今回は、2代目ゴルフとモータースポーツについて語ろう。

1986年にはプジョー、ランチアに次ぐ3位に入った。そして何よりこの年には、グループAの世界タイトルを獲得した。このときのエース格ドライバーはスウェーデン人の若きケネス・エリクソンで、ゴルフでの実績を買われて、後にトヨタや三菱などのトップチームで走ることになる。1987年からはグループBが廃止されて、WRCはゴルフの属するグループAで争われるようになった。そこでは4WDターボのランチア デルタの圧勝だったが、引き続きエリクソンも活躍して、1987年にはシーズンで位の成績を残し、表彰台も何度か獲得。コートジボワールでは総合優勝も飾った。

ただ、その後トヨタなどが4WDターボの強力なマシンを投入するようになり、NAで2WDのゴルフGTIでは戦えなくなった。そこで対抗するためのマシンとして開発されたのが、ホモロゲーション モデルの「ラリー ゴルフ」である。ラリー ゴルフは「シンクロ」の4WDのほかに、機械式過給機のGラーダーを装備。このGラーダーは、フォルクスワーゲン独自のスクロール式の圧縮機であり、先にポロでG40として採用されていたが、ゴルフ用は容量が大きいのでG60と称し、その後GTIにも搭載された。

エンジン本体はGTIにも使われる1.8Lだが、過給機をつけると規則で排気量が1.7倍に換算されるので、レギュレーションで有利な3Lクラスに収まるように、1781ccから1763ccにわずかだが排気量を縮めている。市販型の最大出力は160psのところ、ラリー車では270ps程度は出ていたといわれる。さらにトレッドが広げられて、ワイドな専用ボディをまとっていた。しかし残念ながらWRCでは一部のグラベルイベントに参戦しただけで、本領を発揮しないまま終わってしまった。1990年のニュージーランドで3位入賞しているが、WRCでの活動はこれで一旦長期休止となる。ゴルフ3でもWRC用マシンを試作するが、参戦に至らなかった。後の2010年代にはWRCで大活躍するものの、そのときはゴルフではなくポロになっていた。

画像: パイクスピークを走るツインエンジン ゴルフ。これは1986年のシーン。大幅にワイドトレッド化されている。

パイクスピークを走るツインエンジン ゴルフ。これは1986年のシーン。大幅にワイドトレッド化されている。

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