インテリアの雰囲気は、基本的に従来型と同様だ。エアベントベゼルやセンターコンソールなどが加飾されるなど、変更が小規模に留まっているのも、やはりマイナーチェンジであればこそ。ちなみに、日本導入モデルがスポーツバックを名乗る5ドアモデルに限定されるのは従来同様で、全導入モデルが2ペダル仕様となるのも、やはり従来型から受け継いだ日本でのA3の特徴的な販売方針だ。
しかし、そんな日本仕様のA3から、「ついにトルコンATが姿を消す」というのは大きなニュースだろう。日本で売られる新しいA3は、その全モデルがアウディではSトロニックと呼称するDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を搭載することになったのだ。
そんな最新鋭のトランスミッションと組み合わされるエンジンがすべて直噴4気筒のターボ付きユニットで統一されたのも注目すべき点となる。最高出力125psを発する1.4TFSI、同じく160psの1.8TFSI、そして同200psの2.0TFSIというのが、予定される日本市場でのA3の展開だ。
1.4TFSIと1.8TFSIエンジンに組み合わされるSトロニックは、新たに登場した乾式クラッチを用いる7速仕様。2.0TFSIと組み合わされるSトロニックは、従来からアウディが用いてきた湿式クラッチを用いる6速仕様となる。やはり直噴の過給器付きエンジンとDCT(フォルクスワーゲンではDSGと呼ぶ)を組み合わせる最新のゴルフが、もはや排気量の違いには依存しないバリエーション展開をアピールするのに対して、A3ではいまだ排気量別のヒエラルキーが存在している。こうして、記号(数字)上での識別性も重視するのは、やはりプレミアム性を意識するブランドであるがゆえか。
ちなみに、アウディがかねてから訴求のクワトロは、新しい日本仕様のA3では2Lモデルのみへの採用。従来は6気筒エンジンとの組み合わせで「A3のイメージリーダー」という立場を主張したものの、今度は6気筒モデルそのものがカタログからドロップ。高い動力性能と4WDという「特別な組み合わせ」を望む人に対しては、今度は「S3」に乗ってもらいたいということだろう。現行型では導入されていなかったS3は、今回ようやく5ドアモデルが設定されたために、めでたく日本市場への上陸が実現するというわけだ。