走りは特筆するものではないが、トータル性能では優等生
パワートレーンは1.2L 直4 DOHCのK12C型で、従来からのキャリーオーバーとなる。ソリオG以外はマイルドハイブリッドとなり、91ps/6000rpm、118Nm/4400rpmを発生する。ISG(モーター機能付発電機)はリチウムイオンバッテリーにより駆動され、減速時に回生して充電、加速時にはモーターでエンジンの燃焼効率の悪いところをアシストして燃費の向上を図っている。
充実した予防安全技術もソリオ、ソリオバンディットの特徴だ。「スズキ セーフティ サポート」と総称しているが、今回は夜間の歩行者も検知するステレオカメラ方式の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行者発進お知らせ機能に加えて、ヘッドランプのハイビーム/ロービームを自動で切り替えるハイビームアシストを搭載。ダッシュボード上にはカラーヘッドアップディスプレイを初採用するなど、ちょっとした高級車並の充実した装備を装着している。ACC(アダプティブクルーズコントロール)には全車速追従機能を追加し、長距離移動などでの運転操作を軽減した。
試乗は、ソリオ ハイブリッドMZとソリオ バンデット ハイブリッドMVで行ったが、違いはエクスリアだけだ。エンジンを始動して走り出すとまず感じるのが静粛性の高さ。この辺はエンジン音を吸収するダッシュアウターサイレンサーや、ロードノイズを低減するリアフェンダーライニングの全面化などが効いている部分。走り自体はアクセルを操作に敏感すぎることなくスムーズなのが印象的だ。ただ、ISGのサポートを借りて力強く加速しようと思ってアクセルを踏み込むと、ちょっと肩透かしの印象をうける。
これは仕方の無い部分でもある。ソリオに装着された電動モーターは内燃機関+αのパワーを狙ったものではなく、燃費の悪化する回転域をモーターで補うという制御をしているマイルドハイブリッド。従来はパワーアシストをするストロングハイブリッド仕様もあったが、今のところ設定されていない。
サスペンションは全体的にソフトな印象で街中を走る限り乗り心地は悪くない。ATのセレクターレバーのゲートも国産車の古典的なもので、運転席に座ったときから、すでに自分のクルマのように操作に迷わず動かせるのは、ファミリーカーとして重要な部分だろう。車両価格が200万円前後ということを考えると、買って損はない一台に仕上がったと言える。(文:Motor Magazine 編集部 飯嶋洋治/写真:永元秀和)
ソリオ ハイブリッドMZ/ソリオ バンディット ハイブリッドMV 主要諸元
●全長×全幅×全高:3790×1645×1745mm
●ホイールベース:2480mm
●重量:1000kg
●パワーユニット種類:直4 DOHC + ISG
●排気量:1242cc
●エンジン最高出力:91ps/6000rpm
●エンジン最大トルク:118Nm/4400rpm
●モーター最高出力:3.1ps/1000rpm
●モーター最大トルク:50Nm/100rpm
●トランスミッション:CVT
●WLTCモード燃費:19.6km/L
●タイヤサイズ:165/65R15
●車両価格:202万2900円(ソリオハイブリッドMZ)/200万6400円(ソリオバンディット ハイブリッドMV)