タイムラグの少ない加速感が心地よい
BEV(バッテリーエレクトリックビークル)を「選ばない理由」って、いったいなんだろう・・・DS3クロスバックE-テンスでみなとみらいの街並みをのんびり走っているとそんな疑問が浮かんだ。
実は今回、同じシチュエーションでBEVモデルと1.2Lピュアテック直3ターボエンジン搭載のDS3とを初めて乗り比べてみたのだけれど、素直に「不思議」に思ってしまったのだ。
あえてICE(内燃機関)を「選ぶ理由」って、なんだろう。そんな逆説的な疑問を覚えるほどに、街中でのE-テンスの走り味は好ましいものだった。
世界中のメーカーがさまざまな形で電動化ラインナップの拡大に力を注ぐ中で、グループPSAはBEVのバリエーションを一気に投入してライバルを驚かせた。プジョーブランドにはe-208とSUV e-2008、DSオートモビルからは今回テストしたDS3クロスバックE-テンスが日本市場にもデビューを果たしている。
最新のプラットフォームに50kWh容量のバッテリー、最高出力136ps、最大トルク260Nmで前輪を駆動する電気モーターなど、基本的メカニズムは共通だ。
好印象の鍵を握るのはやはり、電気モーターが生み出すタイムラグの少ない加速感だろう。アクセルペダルを踏み込めば踏み込んだだけ自然に加速していく気持ち良さは、BEVならではの魅力だ。文字どおりスルスルと速度を増す感覚は、なかなか楽しい。
ガソリンユニットが持つ脈動感は慣れ親しんだもので、それはそれで好ましい。けれど電気モーターと比べると、どうしてもワンテンポ「遅れ」を感じてしまう。
そしてもうひとつ、乗り比べて感じたことがある。それは減速する時の気持ち良さもまたBEVならではの魅力だ、ということ。普通に考えればエネルギー回生を積極的に行う電動化モデルのブレーキングは、違和感をともないそうに思える。だが、E-テンスの減速感は加速感と同様にとても自然で、ありがちな「カックン」ブレーキになることも少なかった。