自動車の愉しさを世界に広げたスポーツモデルたち
■MG-TD
■MG-TD
・モデル年式:1951年
・主要諸元:全長3683×全幅1491×全高1422mm、ホイールベース2388mm
・エンジン種類:直列4気筒1250cc、最高出力54ps/5200rpm、最大トルク8.9kgm/2600rpm
→MGのTDは1950年に先代TCのイメージを残しつつ、頑丈なボックス断面のラダーフレーム、ダブルウイッシュボーン式フロントサスペンション、ラック&ピニオン式ステアリングの採用など大きく進化して登場。エンジンは戦前からの流れを汲む直4 OHVの1250㏄で54psながら為替レートゆえの格安さもありアメリカで大ヒットした。1953年までの4年間で生産の8割がアメリカ行きとなる。ブレーキ冷却用ホール付きホイールを先駆けて採用していた。
■トライアンフTR4(Triumph TR4)
■トライアンフ TR4
・モデル年式:1963年
・主要諸元:全長3960×全幅1460×全高1240mm
・エンジン種類:直列4気筒2138cc、最高出力105ps/4750rpm、最大トルク11.7kgm/3350rpm
・トランスミッション 4速MT
→TR(トライアンフ ロードスター)4は、1960年にデビュー。2シーターオープンである先代TR3のシャシを流用し、ミケロッティの手によるアグレッシブなデザインをまとって進化した。エンジンは直4 OHVの2138ccが標準で、105psを得て180km/hの最高速を実現、またラック&ピニオン式のステアリングやフルシンクロとした4速MTの採用で進化を遂げていた。1964年にはリアサスペンションをセミトレーリングアームとしたTR4Aへスイッチする。
■クロスリー レーシングカー(Crosley Racing Car)
■クロスリー レーシングカー
・モデル年式:1943年
→博物館に入ってすぐの左手に収まるアメリカ車としては稀な超コンパクトのレーシングカー。これがなぜここにあるかと言うと能宗館長の生まれた1943年式だからとのこと。アメリカ留学を経験した館長は「戦争真っ只中の昭和18年にアメリカ人はこんなクルマでモータースポーツを楽しんでいたのか」と大きな衝撃を受けたそうだ。小メーカーだったクロスリーは戦後の一時期成功を収めたと言う。7000まで刻まれたタコメーターは今見ても凄い。
■T型フォード スピードスター(Ford Model T Speedster)
■T型フォード スピードスター
・モデル年式:1915年
・主要諸元:全長3403mm、ホイールベース2540mm
・エンジン種類:直列4気筒2896cc、最高出力20ps/1600rpm、最大トルク11.5kgm/900rpm、最高速72.4km/h
→T型フォードは1908~1927年まで造られた世界初の量産車で、累計1500万台を記録していると言われる。エンジンは直4 SVの2896ccで20~24psを発揮。現在と大きく異なるのが3ペダルのレイアウトで、左からブレーキ、リバース、ハイ・ロー切り替えのアクセルペダルが並んでいた。アクセルはハイが直結と言うギアリングを実現。オープンのクーペレットやラナバウトの他、展示車のようなウインドスクリーンを廃したスピードスターなどラインナップは多彩。
福山自動車時計博物館 プロフィール
福山自動車時計博物館では実動する展示車も非常に多く、テレビや映画の撮影に貸し出されることもしばしば。乗用車のみならず、こちらのような懐かしのボンネットバスもしっかり走る。撮影時は近隣の小学生たちがこのバスに乗って、ドライブを楽しんでいた。ちなみに運転手は、副館長兼学芸員の宮本氏。(文:河原良雄/写真:小平 寛)