1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。今回は、4代目ゴルフのデザインについて語ろう。

ゴルフ4のデザインに影響を与えたのはアウディだった

画像: 1982年に登場したアウディ100。フラッシュサーフェスで空力を極め、アウディ デザインの先進性を強く印象づけた。

1982年に登場したアウディ100。フラッシュサーフェスで空力を極め、アウディ デザインの先進性を強く印象づけた。

ゴルフ4のデザインには、ルネッサンスといってもよい新風が吹き込まれた。それをもたらしたのは、やはり「アウディ」であった。長年アウディのデザインを率いたハルトムート・ヴァルクスが、1993年にフォルクスワーゲンのデザインのトップに就任し、ゴルフ4のスタイリングを統括した。ヴァルクスは、技術部門を率いたフェルディナント・ピエヒとともに、アウディ ブランドの革新をデザイン部門で実践してきた人物だった。

ゴルフ4の注目点は、大きく2つ挙げられる。ひとつは、「バウハウス的」とか「ドイツモダニズム」と言われるような、非常にシンプルで虚飾を排したデザインを追求したこと。そしてもうひとつは、ゴルフのルーツである初代ゴルフのデザインを再現しようとしたことである。

ドイツモダニズムは、ドイツ工業デザインと言い換えることもできるが、ヴァルクスはゴルフ4をデザインするにあたって、ドイツ工業デザインの伝統を再現することをテーマにしたといわれる。ゴルフ4に限らず、この頃、フォルクスワーゲンとアウディでは、ドイツモダニズム的デザインを追求していたのだった。時代背景としては、1990年の歴史的な東西ドイツの「再統一」があり、ドイツが盛り上がっていた。ドイツデザインのモダニズム運動は工業化(産業革命)の進展にともなって盛んになったもので、1919年から1933年まで存在した教育機関のバウハウスは、その象徴的存在だった。

ゴルフ4は、極端に虚飾を排した、シンプルな四角が目立つデザインがなされた。こういったデザインが一般的に「バウハウス的」と呼ばれるわけである。

また、ゴルフ4をベースとしてニュービートルがつくられており、やはりシンプルでこだわったデザインだった。だが、これは1930年代のビートルを再現しており、もちろんビートルも往年のドイツ工業デザインの傑作なのだが、丸いボディだった。それに対してゴルフ4は、1970年代のゴルフ1を再現しており、そのため四角かった。ゴルフ1は、イタリア人であるジウジアーロの作だが、やはりバウハウス的というべき、シンプルに徹した四角いデザインが特徴だった。

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