小型SUVやMPVの登場も大きな話題となった
2020年はコンパクトSUVも充実した。6月にはメルセデス・ベンツがGLAのフルモデルチェンジと共に、GLBを同時デビューさせた。スクエアなフォルムが新鮮なGLBは全長4650mmながら、3列7人分のシートを設置しているのが最大の特徴。走りも外観から想像する以上にスポーティなのが印象的だった。
7月にはフォルクスワーゲンがクーペフォルムの新型車、Tロックを発表。8月に入るとアウディが待望久しかった新型Q3の導入を開始し、これにもクーペフォルムのスポーツバックというファミリーモデルが追加登場となった。
さらに9月、プジョーがコンパクトなSUV 2008をフルモデルチェンジ。プジョーの最新デザインを取り入れたスタイリングは魅力的で、電動化も考慮した新プラットフォームによってピュアEVのSUV e-2008も同時発表され、注目を集めた。
この他では、やはりドイツプレミアムブランドの動きが目立った。2019年末にフルモデルチェンジを行ったBMW X6や、6月にV8に返り咲いたGTSを追加したポルシェ カイエン/カイエンクーペ、8月に大幅改良されたアウディQ7などが主だったところ。中でもQ7は内外装の刷新に加え、48Vのマイルドハイブリッドを加えた3L V6ターボとパワートレーンまで一新したのが印象的だった。
さて、こうしたSUVの動向とは別に、ユーテリティ志向の輸入MPVがモデル数を増やして来たのも興味深い出来事と言える。
このジャンルはルノーカングーの日本参入が早く、他に追随するライバルもいなかったため、これまで独占市場となっていたが、グループPSAにも似たコンセプトのモデルが存在し、シトロエンブランドではベルランゴ、プジョーブランドではリフターとして展開されている。
これらが限定で先行導入されたところ完売という人気を見せた。そこでベルランゴは10月から、リフターも11月からカタログモデルとしての導入が決定。共に搭載エンジンは1.5Lのディーゼルターボとなっている。(文:石川芳雄)