ルノーの新しい事業計画「RENAULUTION(ルノーリューション)」において、EVのコンセプトモデル「5(サンク)プロトタイプ」が発表された。往年の名車をオマージュしたものだが、ルノー 5とはどんなクルマだったのか、あらためて振り返ってみよう。

シンプルだがポップな雰囲気を持ち合わせていた「5」のデザイン

5のFFコンパクトハッチバックというコンセプト自体が、当時まだ新しかったが、スタイリングも新鮮味があった。そのデザインは、才能がありながら若くして急逝したミッシェル・ブエが原案を描いたことで知られる。

ちなみに2代目の5は、ランボルギーニ・カウンタックのデザイナーとして有名なマルチェロ・ガンディーニが手がけたが、その巨匠も傑作である初代5に最大の敬意を払ったのだった。

初代5は、その車両コンセプトの新しさとデザインの良さで、当時非常に高く評価された。5の名前は惜しくも2代目までで消えてしまったが、その後クリオ(日本名ルーテシア)と名前を変えて、現在でも系譜は途絶えることなく続いている。

初代5のデザインは、いかにもシンプルだが、当時のプロダクトデザインと同様な1970年代的なポップな雰囲気を持ち合わせており、新しさが感じられた。特徴的なのは樹脂製の大型バンパーを採用していることで、棒状の金属製バンパーが主流だった当時、時代の先端を行っていた。

画像: ルノー 5をベースにターボエンジンをミッドシップ搭載した5ターボは、WRCでも活躍した(写真は後期型の5ターボ2)。

ルノー 5をベースにターボエンジンをミッドシップ搭載した5ターボは、WRCでも活躍した(写真は後期型の5ターボ2)。

初代5がブランドのヘリテージとなったのは、モータースポーツで活躍したことも大きい。スポーツバージョンとして、アルピーヌの名を冠した5アルピーヌや5アルピーヌ ターボも発売され、それらはラリーやサーキットレースで活躍した。さらに極めつけとしてエンジンをミッドシップ搭載した5ターボまで開発し、これはWRCで何度も優勝するほどの存在感を示し、今も広く知られるカルト的モデルになっている。

今回発表されたEVの5プロトタイプはフェンダーがかなり張り出しており、またAピラーからルーフ後端にかけてのデザインに、5ターボへのオマージュのような意匠も見てとれる。

じつは、初代5は現行トゥインゴのデザインの元ネタにもなっている。けれども今回の5コンセプトは、名前も継承しているから当然ともいえるが、よりいっそう初代5を再現しており、またEVだからこれも当然といえるかもしれないが、革新性を感じさせるデザインタッチになっている。なにより、ルノーとしても新しいデザインであることが感じられる。ルノーの新しい時代を象徴するシティカーということで、まさに初代5の役割を継承しているようである。(文:武田 隆)

画像: 縦型のテールランプなど、リアビューも初代5からインスパイアされているようだ。

縦型のテールランプなど、リアビューも初代5からインスパイアされているようだ。

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