ややおとなしめの加速感だがバランス的には一級品

1.2Lの直3をミラーサイクル化、直噴システム、アイドリングストップ、そしてスーパーチャージャーを装着したHR12DDR型エンジン。
では実際にマイクラのプロトモデルの走りを体感してみよう。予想どおり、その走り出しはややおとなしいものの、過給が始まれば力強さがみるみる増していく。高速域のトルク感もなかなかだ。これは確かにポロのフィールに似ている。ただ、スペックが示すとおりパワーもトルクもマーチのほうが大人しめだから、ポロのような意外に力強い加速感ではない。
もっとも、発進加速や高速巡航がやや苦手に思える通常の1.2Lマーチに比べれば、やはり差は大きい。環境性能と走りのバランスという意味では、ポロは元気過ぎるかも。環境性能を第一に考えれば、その目標値はきわめて高いし、けっして目をむく速さはないものの、過給がかかった状態ではかなりスポーティなフィーリングが楽しめる。つまり、マーチのほうがトータル性能に優れているかもしれない。
現在のところ開発中のためか、電磁クラッチの切り替わり時に段付きを感じたり、中速域のもたつき、そして高回転域での息苦しさなどが目につくこともある。だが、これも正式発表となる2011年前半(欧州)までには解決されるに違いない。
とはいえ、今回の試乗車は5速MT。日産自慢の副変速機付きCVTではない。つまり、まだ期待できるというものだ。当然のように計画されているというCVT仕様の出来が楽しみだ。日本への投入は、2011年夏頃の欧州発表の後。秋頃という噂もある。その時はポロと真っ向勝負させてみたいものだ。(編集部註:マーチ スーパーチャージャーは諸般の事情で販売されませんでしたが、このエンジンは後にノート<従来モデル>に搭載されました)

マーチ スーパーチャージャーの最大のライバルとなるであろうフォルクスワーゲン ポロ。写真は従来モデルで、日本にも導入されていた。