東京から福岡まで往復するという最新BEVによる長距離ツーリング道中での取材を含めると、その走行距離はおよそ2500kmあまりとなる。「一充電走行距離405km」のe-トロンスポーツバックなら、心強い限りだ。(Motor Magazine2020年11月号より)

バッテリー容量を見ながら余裕あるスケジュールで到着

翌朝、出発時のディスプレイにはバッテリー容量81%、航続距離316kmと出ている。ひと晩(およそ時間)充電しても、簡単にフル充電状態になるわけではない。こちらの充電器は定格出力3.2kWのタイプ。単純計算では10時間の充電で32kWhの電力が供給されたわけだ。

クルマ側の容量は95kWh。つまりこのタイプの普通充電器だと、充電開始時点で車両のバッテリー容量が63kWh(=ほぼ67%)ないと10時間充電で容量95kWh(100%)にはならないのだ。ロングレンジ走行を可能にする大容量バッテリーゆえの、たっぷり充電させることの難しさをまずは実感したわけだ。

では急速充電器だとどうなるのか。サービスエリアなどに用意されているチャデモ規格の急速充電器は最大出力50kWでの供給となる。使用には1回30分、バッテリー容量80%までという条件がある。

つまり50kW出力器なら1回で25kWh、eトロン スポーツバックにとっては容量26%の電力補給ということになるわけだ。バッテリー容量1%で3.8km走行という目安で考えると、eトロン スポーツバックはチャデモの急速充電1回ごとに航続距離100kmを獲得できる、という意味である。

博多までの往路は、浜名湖と徳山で宿泊する行程としたので、夜間の普通充電利用によってバッテリー容量をだいぶ回復させることができた。要所要所で急速充電を行いながらの片道1100km、エフィシェントモードで走り、速度は最高100km/h。スケジュールどおりの引き渡しに成功した。

さて、復路だ。こちらは取材スケジュールの関係で午前2時に出発、その日のうちに福岡から沼津まで約1000kmを移動するというプラン。往路の経験から充電時間と獲得航続距離を計算して、小まめに急速充電を行いながら時間の走行後、無事に沼津のホテルへと投宿して普通充電器に接続。翌日は河村氏の試乗取材、そしてすべての課題を問題なくクリアできたのだ。

eトロン スポーツバックによるロングラン、強行軍ではあったが、エナジーさえあれば本当にどこまでも行けるであろう、高い完成度を実感させられた次第である。(文:Motor Magazine編集部 香高和仁/写真:永元秀和)

画像: 福岡の「海の中道海岸駐車場」は砂浜にあるので、4WDに安心感を覚える。

福岡の「海の中道海岸駐車場」は砂浜にあるので、4WDに安心感を覚える。

アウディeトロン スポーツバック55クワトロ ファーストエディション主要諸元

●全長×全幅×全:4900×1935×1615mm
●ホイールベース:2930mm
●車両重量:2560kg
●モーター:交流同期電動機
●最高出力:300kW(408ps)
●最大トルク:664Nm
●バッテリー総電力量:95kWh
●WLTCモード航続距離:405km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:265/45R21
●車両価格(税込):1327万円

This article is a sponsored article by
''.