2019年の東京モーターショーでコンセプトカーが公開されてから1年余り。2020年12月9日、ついに2代目MIRAI(ミライ)が正式発表・発売となった。先日、その市販モデルを公道で試す機会を得たので、早速レポートしてみたい。

先進的であるものの奇抜ではなく誰が見ても「カッコイイ」と感じさせる内外装

高級車の指標のひとつでもある静粛性に関してはどうか。当然、モーター駆動なので車内に浸入してくる雑味のある音はほとんどない。基本的には路面とコンタクトするタイヤのパターンノイズのみと言い切れる。ただ、やや速度を上げていったときにリアのCピラーのあたりからわずかに風切り音が聞こえることがあったことは念のため報告しておく。

画像: 12.3インチの大型センターディスプレーからメーターへと続く未来的なデザインを採用。

12.3インチの大型センターディスプレーからメーターへと続く未来的なデザインを採用。

先代ミライのデザインは、先進性を前面に押し出したゆえ街中では少々異質な存在であった。その発表会はお台場のMEGA WEBで開催された。「このデザインどうですか?」と関係者に声をかけられ、思わず「怪獣みたいですね!」と答えてしまったほど。「そうですよね〜ちょっとやり過ぎですよねー」と笑いながら応じた関係者だったが、目が笑っていなかった。複雑な心境だったのだろう。

一方、新型ミライは最近のトヨタ・デザイン言語が取り入れられおり、前述のような違和感はなくなった。先進的でいながら、それをいたづらに誇張はしていないところに好感が持てる。そのぶん強烈な存在感は薄められたが、だれが見てもカッコいい4ドアクーペスタイルになったことで、普及に弾みがつくことは間違いない。実際、街中での注目度は高く、赤信号で止まっていると多くの人が振り返る。止まりの撮影中にも「カッコイイですね!」と声をかけられたほどだ。

最小回転半径5.8mは狭い道で気を遣う

あえてネガティブな点を指摘するならば、ただでさえ大柄なボディに加えエンジンコンパートメントいっぱいにFCスタックとその補機類を押し込んでいるので、ステアリング切れ角に影響が出てしまっているところ。2920mmというロングホイールベースも相まって、小回りはあまり得意ではない(最小回転半径は5.8m)。

また、スタイル優先となったせいで、特に後席の乗降性にも影響が出てしまっている。その点では、クラウンはさすがに良くできている。逆に今後ミライが世代交代を重ねる中で決断を迫られる潜在的な課題(スタイル&空力をとるか、それとも実用性をとるか)として残っているかも知れない。(文:Motor Magazine編集部:阪本透/写真:永元秀和)

画像: 最小回転半径5.8mは狭い道で気を遣う

ミライ“Z”主要諸元

●全長×全幅×全高:4975×1885×1470mm
●ホイールベース:2920mm
●車両重量:1930kg
●モーター:交流同期電動機
●モーター最高出力:134kW(182ps)/6940rpm
●モーター最大トルク:300Nm(30.6kgm)/0-3267rpm
●FCスタック最高出力:128kW(174ps)
●一充電航続距離[参考値]:約750km
●駆動方式:RWD
●タイヤサイズ:245/45ZR20(メーカーオプション)
●車両価格(税込):790.0万円

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