ゴルフ ベースのミニバンやSUVも登場した
新しい車種としては、ゴルフ プラスが2004年に加わった。ゴルフに車高の高さをプラスしたようなクルマであり、全長や全幅は変わらず、全高だけが85mm高い1605mになっていた。ミニバンが世の中に増えるなか、ミニバンと同じように車高を高めることで室内スペースを拡大して、居住性を高めたのがポイントだった。車名に「ゴルフ」が入っているだけあって、スタイリングもゴルフらしさを継承している。ただ、車高の高いクルマが流行しても、やはり主役はゴルフで変わらない。そこがゴルフの求心力の強さである。ゴルフ プラスにはSUV風に仕立てたクロスゴルフも存在した。
3列シートの、ちゃんとしたミニバンといえるモデルが、ゴルフ トゥーランである。日本ではゴルフの名が付けられたが、ドイツ本国では単にトゥーランと呼ばれている。ホイールベースはゴルフより100mm長い2675mmだが、全長も全高もミニバンとしては比較的抑えめなので、3列目シートが狭いなど、居住性は日本のミニバンなどと比べれば劣っていた。ただ、このサイズのクルマとしては十分広く、なにより走りの良さや高品質感などゴルフの持ち味がそのまま受け継がれており、室内空間が広いことも含めて伝統的なゴルフの良さを受け継ぐクルマだった。
SUVとしてはティグアンが2007年に登場した。この頃はコンパクトなSUVはまだヨーロッパでは多くはなく、フォルクスワーゲンはフルラインメーカーだけあって、比較的早い対応だった。本格的なSUV仕立てで、大きさこそゴルフに近いが、さすがにゴルフの名前は冠していない。
カブリオレ モデルは、ゴルフ5ではつくられず、イオスという別モデルが2006年に登場した。ホイールベースはゴルフ5と同じだったが、正確にはパサートのプラットフォームに基づいており、やや上級の位置づけだった。ちなみに、6代目のゴルフではゴルフ カブリオレが復活する。
このほか、ゴルフそのもののグレードであるが、最上級モデルのR32が先代に続いて設定された。狭角V6エンジンや4WD機構などのメカニズムは先代と基本的に変わらなかったが、エンジンはやや出力が高められ、排気系などの改良でサウンドに気持ち良さが増し、パフォーマンスモデルとしての訴求力を高めていた。だが、V6エンジンは次のゴルフ6では消え去ることになる。(文:武田 隆)