1980〜1990年代にかけて「クロカンブーム」を支えた4WDが各自動車メーカーから続々と発売された。この連載企画では、今でいうSUVとは、ひと味もふた味も異なる「泥臭さやワイルドさ」を前面に押し出したクロカン4WDを紹介する。第25弾はいすゞ「2代目ビッグホーン」だ。

1995年、パートタイム4WDから電子制御トルクスプリット4WDへと大幅に進化

また2代目はサスペンションも一新されたのもトピックだった。フロントはダブルウイッシュボーン+トーションバースプリング式の独立懸架として、リアサスペンションはセンターリンクを備えた4リンクのコイルリジッドを新採用。このリアサスペンションの個性的なレイアウトは、ハイレベルな路面追従性と走行安定性を持ち合わせ、ハードなレース参戦車に丸ごと移植されることもあったほど高く評価されたサスペンションとして知られていた。

1992年には日本カーオブザイヤーの選考委員会特別賞を受賞。その翌年のマイナーチェンジでは、最上級グレード「ハンドリングバイロータスSE」、ベーシックに代わり「LS」を設定。LSは3年後に「プレジール」とするなど進化を続けていた。

画像: ハンドリングバイロータスにはMOMO製の3本スポークステアリングホイールが採用された。

ハンドリングバイロータスにはMOMO製の3本スポークステアリングホイールが採用された。

そして2代目ビッグホーンが大きく変わったのは1995年だった。従来、パートタイム4WDのみだった4WDシステムに、「TOD(トルク・オン・ディマンド:電子制御トルクスプリット4WD」を追加したのだ。このシステムは通常走行時はFRで走り、路面状況に応じて前輪にも駆動配分する電子制御4WDシステムだ。これによりタイトコーナーブレーキング現象などをなくし、確実なグリップ走行ができるようになった。これをまずはロータスSEに投入し、翌1996年から他グレードへと展開していった。

それと同時にエンジンもリニューアルされ、4JG2型ディーゼルターボエンジンの噴射ポンプを機械式から電子制御式に変更し、排出ガスのクリーン化を果たしつつ、パワーを125psから135psまで引き上げた。そして1998年のマイナーチェンジでは、ディーゼルをコモンレール噴射式「Dd」の4JX1型2999cc直4インタークーラー付ターボディーゼル(最高出力160ps/最大トルク34.0kgm)へ、ガソリンエンジンは3494cc V6の6VE1型(最高出力230ps/最大トルク32.0kgm)へとサイズアップした。

グレード構成は、最上級の「ロータスSE」、量販グレードの「プレジールⅡ」、リーズナブルな「フィールドスター」の3種に集約された。

そして2002年、いすゞは乗用車事業から完全撤退し、21年間活躍したビッグホーンも販売を終えることとなった。なお、ビッグホーンは1994~1999年の間、ホンダに「ホライゾン」として、1988~1993年の間でスバルに同名の「ビッグホーン」としてOEM供給していたが、どちらも契約満了とともに販売を終了した。

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