2008年、3代目アウディA6がフェイスリフトを受けた。ガソリンエンジンがすべて直噴化され、クワトロシステムが最新世代のものとなったが、この時新たに設定されたのが「3.0TFSIクワトロ」だった。Motor Magazine誌は欧州で開催された国際試乗会に参加、さっそくA6 3.0TFSIクワトロの試乗テストを行っている。ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年12月号より)

どのような時も扱いやすい3LのTFSIエンジン

あらためて走りの印象をお伝えしておこう。試乗したのは3.0TFSIでアダプティブエアサスペンション装着車だった。

走り出して感じるのは、加速が非常に滑らかであること。ふつう、ターボにしろスーパーチャージャーにしろ、過給器が付いていると低回転からグイグイとトルクの盛り上がりを感じるのだが、それがあまりない。トルクが細いということではなくて、その出方が非常に自然でスムーズなのだ。まったく過給器が付いているような感じがしない。そういう点で、街中の微低速から40〜50km/hの範囲では、非常に運転がしやすかった。

かと言って高速域も決して苦手ではない。トルク感に抑揚はないのだが、アクセルペダルを踏み続けていると、あっという間に200km/h近くになっている。エンジン音など、ほとんど変化がなく余裕綽々といった感じだ。これで燃費もよいというのだから大したものだ。このTFSIエンジンは何でもこなす万能選手といえる。

乗り心地は非常にいい。とくに試乗車はアダプティブエアサスペンションを装着していたので、全般にいい印象を受けたのだろうが、これを「ダイナミック」に設定しても、しっとりとした乗り味が損なわれることはなかった。それでいて、コーナーを攻めればしっかりとしたところも見せてくれる。サスペンションの煮詰めは、かなり進んだようで好感がもてた。

ところでこの欧州試乗会には、アバントに続いてデビューしたRS6セダンも用意されていた。パワースペックはアバントと同じだが、車重が少ないぶん、走りは一層研ぎ澄まされたものとなっている。非常に限られた時間と場所の試乗だったので、これについては改めて別の機会を設けて報告したいと思う。

さて、フェイスリフト後の日本におけるA6ファミリーのラインアップは、2.8FSIクワトロ(220ps仕様)、3.0TFSIクワトロ、RS6、S6のそれぞれにアバントとセダンで、トータル8モデルということになる。A6オールロードクワトロは、日本へは導入されなくなるそうだ。このジャンルはQ5に受け持たせようという考えなのだろうが、一世を風靡したモデルだけに少々残念だ。

3.0と2.8の日本上陸は2009年早々が予定されている。A6は世界では販売好調だが、日本ではいまひとつ冴えない。このフェイスリフトしたモデルで、攻勢をかけたいところだろう。そのポテンシャルは十分にあると見た。(文:Motor Magazine編集部 荒川雅之)

画像: A6 3.0TFSIクワトロのインテリア。アルミ素材をより多く採用し豪華な雰囲気を強調。MMIはさらに進化を見せている。

A6 3.0TFSIクワトロのインテリア。アルミ素材をより多く採用し豪華な雰囲気を強調。MMIはさらに進化を見せている。

アウディA6 3.0 TFSI クワトロ主要諸元

●全長×全幅×全高:4927×1855×1459mm
●ホイールベース:2843mm
●車両重量:1725kg
●エンジン:V6 DOHCスーパーチャージャー
●排気量:2995cc
●最高出力:213kW(290ps)/4850-6800rpm
●最大トルク:420Nm/2500-4850rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・80L
●タイヤサイズ:225/55R16
●0→100km/h加速:5.9秒
●最高速度:250km/h(リミッター)
※欧州仕様

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