いつになく早く咲いた桜は散ってしまい、スギ花粉の飛散もピークを過ぎたようだ。日本では、これくらいの時季がオープンエア モータリングを楽しむにはちょうど良いだろう。というわけで、今回は2台のゴージャスなオープンモデル、レクサス LC500コンバーチブルとメルセデス・ベンツ E300カブリオレに試乗してみることにした。

流麗なスタイルに豪快なパワーを秘めたLC500コンバーチブル

今回の2台は、ちょっとゴージャスなモデルで、ソフトトップを採用している。保管や治安を考えるとオープンモデルでもハードトップを選びたくなるのだが、やはりソフトトップのほうが優雅でオシャレに見えるのか、プレミアムなモデルでソフトトップを採用するケースが増えている。BMWの4シリーズ カブリオレも新型ではソフトトップに戻ったし、発表が近いと噂されているメルセデス・ベンツの次期SLもソフトトップを再び採用したようだ。

画像: 優雅なスタイルとは対照的に、V8エンジンによる豪快な走りっぷりを見せるレクサス LC500コンバーチブル。

優雅なスタイルとは対照的に、V8エンジンによる豪快な走りっぷりを見せるレクサス LC500コンバーチブル。

まず乗ってみたのは、レクサス LC500コンバーチブル。その名が示すように、レクサスのフラッグシップ クーペであるLC500のオープンモデルだ。個人的には現在の日本車で最もスタイリッシュなクーペだと思っているLCを、ソフトトップのオープン2+2モデルに仕立て上げている。クーペは流麗なファストバックスタイルだが、コンバーチブルでは独立したトランクを備えてクローズド時にはノッチバック スタイルとなる。そのため、クローズド時の印象はクーペとはかなり異なる。

インテリアのデザインなどは基本的にクーペと変わらないが、シート肩口のキルティングやヘッドレスト後ろのLマークなど、オープン時に車外からの見え方にこだわっているという。アームレスト手前のカバーを開けてスイッチを押せば、トップは15秒ほどで開閉する。車速が約50km/h以下なら走行中でも操作できるから、突然の降雨で焦る必要はない。

LC500コンバーチブルのパワートレーンはクーペと違い、5L V8自然吸気エンジンのみの設定だ。この、いまや貴重な大排気量ユニットを10速ATを介して後輪を駆動するというコンベンショナルな組み合わせは、その流麗なスタイルからは想像しがたい走りを見せる。スロットルペダルを踏む足に力を入れずとも、街中でも高速道路でも流れをリードできるが、オープンロードでひとたび右足に力を入れると、2段ほどキックダウンして懐かしく豪快なサウンドとともに猛烈な加速を開始する。

画像: シートヒーターはもちろん、ネックヒーターやステアリングヒーターも備えて前席は快適だが、後席はエマージェンシー用。

シートヒーターはもちろん、ネックヒーターやステアリングヒーターも備えて前席は快適だが、後席はエマージェンシー用。

オープン化に伴うシャシの強化で車両重量は2トンを超えているが、ボディの重さを感じることはない。10速・100km/hでクルーズするとエンジン回転数は1250rpmくらい。サイドウインドーを上げていればオープンでもパッセンジャーと普通に会話でき、シートヒーターはもちろんステアリングヒーターやネックヒーターも備えているから、冬のオープン走行も思ったほど辛くなさそうだ。

ただし、クローズド時はリアウインドーが狭いので後方視界は良くない。後退時や高速道路クルージング時など、死角となりやすい部分に気を配る必要がありそうだ。また、リアシートは備わっているが、エマージェンシー用と割り切って荷物置き場と考えたほうが良いだろう。

そもそもこのクルマを実用車・ファーストカーとして手に入れる人は少ないだろう。クーペでも十分以上にゴージャスなのに、それをオープンにしたゼイタクなモデル。こんなクルマが日本車にも登場したことは喜ばしいことだが、自分とは縁遠い世界に思えてしまうのは、ちょっと悲しい。

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