ファーストカーとしても使えそうなE300カブリオレ
次に乗ってみたのは、メルセデス・ベンツ E300 カブリオレ。メルセデス・ベンツは初代SLの時代から、オープンモデルを数多くラインアップしている。このEクラス クーペをベースにしたカブリオレは、中核的なモデルといえるだろう。先に乗ったLC500コンバーチブルに比べると、ボディの厚みがありボテッとした感じに見えてしまうのだが、そこはメルセデスの重厚感とか安心感を与えてくれるものと考えよう。
ベースとなったEクラス クーペは、クーペながらリアシートに大人ふたりがキチンと座れる居住性を確保していた。このカブリオレもオープン化されてもリアシートの居住性はクーペとほとんど変わらず、オープンでもクローズドでも、おとな4人で乗っても問題ない。これならば、ファーストカーとしても十分に通用するだろう。
こちらもセンターコンソール手前のスイッチひとつで、ソフトトップは20秒ほどで開閉する。走行中でも約50km/h以下なら操作は可能だ。クローズド時の車内の静粛性は高く、高速道路を走っているとオープンモデルであることを忘れてしまいそうなほど。ルームミラーで後方を確認したとき、少し狭いリアウインドーでカブリオレであることを再認識したくらいだ。
フロントウインドー上のエアキャップや電動ドラフトストップなども備えているので、オープン走行でも風の巻き込みは少ない。こちらもシートヒーターはもちろん、ヘッドレスト下にはエアスカーフと呼ばれる首まわり用ヒーターも備わるから、寒い季節には重宝しそうだ。
オープンモデルにもかかわらず、LC500コンバーチブルでもボディ剛性はかなりのものだったが、このE300 カブリオレはその上を行く。開口部の大きなオープンモデルとは思えないほどガッチリしたボディは、いかにもメルセデスに乗っていますよという安心感を与えてくれる。
車名こそE300だが、搭載されるエンジンは2L 直4ターボで9速ATを組み合わせている。メルセデスのエンジンはダウンサイジング ターボ化が進み、新型Sクラスでも日本仕様は今のところV8が設定されていない時代だ。LC500コンバーチブルのV8が伝統なら、こちらの直4ターボは革新のユニットといえるだろう。実際、パワー的には何の不満もない。9速100km/h走行時のエンジン回転数は1500rpmくらい。エアサスペンションと電子制御ダンパーを組み合わせた足まわりのおかげで、乗り心地は快適だ。
走りに関して不満はないが、USBのジャックが小型のタイプCのみになっていたのは残念なところ。新型Cクラスもそうなっているらしいし、今後はこちらが主流になっていくのだろうが、普通のUSB(タイプA)もひとつくらい残しておいて欲しかった。
オプション価格を除いた車両価格(税込み)だけでも、あわせて2500万円近いゴージャスなオープンモデルの競演。ひとりのクルマ好きとしては「いつかは・・・」なんて考えることすら難しいのだが、こんな優雅なオープンモデルと過ごすことができたのは、楽しいひとときだった。(文:Webモーターマガジン編集部 篠原政明/写真:村西一海)