「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、2007年にデビューした日産 GT-R(R35型)の2011年モデルだ。

歴代GT-Rの中では、もっとも運転しやすいクルマだろう

画像: V6ツインターボエンジンは45ps/2.5kgmアップの530ps/62.5kgmとしながら、燃費も8.5km/Lと0.2km/L向上した。

V6ツインターボエンジンは45ps/2.5kgmアップの530ps/62.5kgmとしながら、燃費も8.5km/Lと0.2km/L向上した。

そもそも大パワー車は非常に繊細な運転が必要だ。だからといって、グリップ走行では遅い。しかもリアタイヤが一気に滑った瞬間に、コントロール不能に陥るケースがある。それなら事前にパワースライドさせておいた方が安全だ。とはいえ、パワーをかけてタイヤを滑らせ過ぎてもダメだ。

要は、小さめのドリフトアングルがコーナリング中に持続する運転を心がけることだ。ミッドシップの場合、ハンドルをわずかに切り込むかゼロカウンターの範囲が理想的だ。このとき、後輪の滑り量にとても気を遣うのだが、GT-Rは、滑りながらもグリップしている感じなので、一気に滑ってしまう怖さの感覚が薄い。数周の試乗で試す機会は少なかったが、もっとドリフトアングルをつけても、テールは破綻しない感じだ。ターンインでも、もっと急激に回頭させてもいいようだ。

それにしても、530psなんて誰にでも扱えるものではないと思っていたのだが、乗ってみると、絶大な安定性を持っていることがわかった。最後の最後、破綻寸前で、たとえドライバーが適切なカウンターステアを当てられないとしても、E-TSが介入して前後配分を変えてカウンターを当てたのと同じ効果を与えてくれる。だからVDCをカットしていても、誰でも安全に使いこなせる。これはスゴい。最新のフェラーリでもなしえていないことだ。

それでも、本当に突き詰めて極限のタイムを出すには、E-TSの機構を知り抜かなければならないだろう。そこまでしなくてもいい、ストレスもなく、爽快に速く走りたいというレベルには、誰でもたどり着ける。それは車体の基本性能が向上し、感覚的に乗れるようになったからだ。

それにしても、R35 GT-Rというクルマは作り手のこだわりを感じさせる。何でも取り入れて進化させていこうとする作り手の「志」が、530psという途方もないスペックを持ったマシンを、安全な乗り物に変えた原動力なのであろう。

画像: GT-Rを普通に速く走らせることは誰にでもできるが、突き詰めた走りを目指すなら、それなりの腕を必要とする。

GT-Rを普通に速く走らせることは誰にでもできるが、突き詰めた走りを目指すなら、それなりの腕を必要とする。

■日産 GT-R Pure edition 主要諸元

●全長×全幅×全高:4670×1895×1370mm
●ホイールベース:2780mm
●車両重量:1730kg
●エンジン種類:V6 DOHCツインターボ
●排気量:3799cc
●最高出力:390kW<530ps>/6400rpm
●最大トルク:612Nm<62.5kgm>/3200-6000rpm
●トランスミッション:6速DCT
●駆動方式:フロント縦置きトランスアクスル4WD
●10・15モード燃費:8.5km/L
●タイヤ:前255/40ZRF20、後285/35ZRF20
●当時の車両価格(税込):869万4000円

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